香港の魚の60%からマイクロプラスチック 健康に影響も - NEWSポストセブン(2018年6月27日)

https://www.news-postseven.com/archives/20180627_705889.html

香港の海鮮料理に使われている魚の60%が微小なプラスチックであるマイクロプラスチックを摂取しており、それらを食べた人間の健康に影響を及ぼす可能性があることが明らかになった。英BBC放送が、香港の地元大学や環境保護団体グリーンピースの調査結果として報じた。
マイクロチップは通常、5mm以下の微小なプラスチックの破片。海に囲まれている香港では海岸に捨てられたペットボトルなどのプラスチック製品が紫外線や熱、波によって砕けてできるという。
グリーンピースなどによると、香港では使い捨てプラスチックの削減目標もなく、ペットボトル類の投棄はほぼ野放し状態だ。香港政府当局は毎年1万6000トンの海の廃棄物を撤去しているが、それでも大量のマイクロプラスチックが魚に摂取されている。
エルビス・アウ香港政府環境保護署・副署長はBBCに対して、「我々も危惧している。香港市民の健康被害などの調査を行い、対策を検討している」と語ったうえで、来年をめどに香港の政府機関の庁舎などに設置されている自動販売機ではペットボトル飲料の取り扱いを禁止することにしている。
とはいえ、すべてのペットボトル飲料を製造禁止にすることは事実上不可能だ。マイクロプラスチックには有害物質がくっつきやすいうえ、ただでさえ小さいことから、魚や鳥が食べやすく、海の生き物の体内でマイクロプラスチックの検出例は増えているのが現状だ。
香港だけでなく、地球規模でみても、マイクロプラスチックはプラスチック製品洗顔料などにも含まれ年間約800万トンも海に流れ込んでいるという。
このため、EUでは最近、ビニール袋やカップ、ストロー、ラップなど使い捨てのプラスチック製品を幅広く規制対象とするルールが検討されている。また、代替品がある場合は、プラスチック製品の使用禁止や回収の義務付けも定めている。
今月、カナダで開かれた主要7カ国首脳会議(シャルルボワ・サミット)でも、2030年までのプラスチック代替品への切り替えなどをうたう「海洋プラスチック憲章」がまとめられており、マイクロプラスチック被害は地球規模で拡大しているのが現状だ。