生活保護世帯 厳しい現実 大学生 親の支援年5万円 - 東京新聞(2018年6月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018062602000153.html
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厚生労働省は二十五日、生活保護世帯から大学などに進学した学生と、学生全体の年間平均収入を比較する初めての調査結果を公表した。家庭からの給付額をみると、生活保護世帯出身の学生が年間五万五千円なのに対し、全体世帯は百十八万一千円。アルバイト収入は生活保護世帯の年間六十三万七千円に対して、全体は三十五万六千円だった。家庭からの少ない給付を補うため、生活保護世帯の学生がアルバイト収入に頼らざるを得ない苦しい生活事情が浮き彫りになった。 (編集委員・上坂修子)
調査は国会の求めに応じ民間業者に委託し、昨年末に行われた。二〇一七年四月時点に大学、短大、専修学校などに在籍し、保護世帯出身で自宅から通う学生約四千五百人を抽出し調査票を送付。約二千人から回答を得た。学生全体については、日本学生支援機構の「一六年度学生生活調査」結果を活用した。
保護世帯出身学生の年間平均収入の内訳をみると、家庭からの給付とアルバイト収入に加え、奨学金が百七万七千円。奨学金を利用している割合は87%だった。奨学金の年間受給額の分布を見ると、百万円以上百五十万円未満が最も多く、四割を超えていた。奨学金の種類は、将来、返済しないといけない貸与型がほとんどだった。
学生全体の年間平均収入の内訳は、家庭からの給付とアルバイト収入に加え、奨学金が三十八万五千円だった。奨学金を利用している割合は49%だった。
保護世帯の子どもは現行制度では、高校卒業後の就職が原則になっている。このため大学などに進学すると親と同居していても「世帯分離」の手続きをとらねばならず、その子どもは保護対象から外れる。「世帯分離で保護費が減額されることが進学に影響したか」との質問に、62%が「影響した」と答えた。
生活保護世帯出身の学生が、大学進学前から経済的に苦しい状況に置かれている実態も明らかになった。高校に通っている頃のアルバイト収入の使い道では、進学のための費用が48%、家計に入れる費用が24%、クラブ活動、修学旅行のための費用が17%だった(複数回答)。
保護世帯の子どもの大学などへの進学率は一七年、35%だった。全体の73%の半分以下にとどまる。