https://mainichi.jp/articles/20180606/ddm/001/070/091000c
http://archive.today/2018.06.06-001818/https://mainichi.jp/articles/20180606/ddm/001/070/091000c
重要な政策決定から政敵の悪口までツイッターで発信するトランプ米大統領の個人アカウントは、5200万人を超すフォロワーを持つ。支持者もいれば興味本位の人もいよう。炎上することもしばしばだ。
最近では政権のロシア疑惑をめぐって「私には自分自身を恩赦できる絶対的な権利がある」と書き込み、「あなたは王様ではない」など非難が殺到した。挑発的なトランプ氏の物言いだが、大統領の発言はツイッターを含めその品位にかかわらず公式記録として保存の対象になる。
それを規定した大統領記録法が制定されたのは、ウォーターゲート事件でニクソン大統領が会話テープを廃棄するおそれがあった一件にさかのぼる。大統領の記録は私物ではなく政府の財産という理念に基づいている。
財務省の森友文書改ざんを受けて安倍晋三首相が公文書管理の見直しを指示した。だが、官僚が作成した文書を怪文書と呼び、記録より記憶を重視してきた安倍政権である。制度改革以前に、公文書に対する認識を改めなければならないのは政治も同じではないか。
もっぱら法案策定を担う米国の議員は日々の仕事に公文書が欠かせない。政府に立法を任せている日本では議員にとって公文書は縁遠い存在なのかもしれない。権威を傷つけられた国会は重い腰を上げるべきだ。
批判的な意見を排除するためツイッターを遮断したトランプ氏に米連邦地裁が違憲判断を示した。判決は言う。「大統領であれ法の上に立つ政府当局者はいない」