外国人就労新資格 最長5年可能に 農業など5分野 来年4月にも創設 - 日本農業新聞(2018年6月5日)

https://www.agrinews.co.jp/p44260.html
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政府が農業など人手不足が深刻な業種を対象に、外国人が日本で働くことができる新たな在留資格を創設することが分かった。政府が15日にも閣議決定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に盛り込む。実現に向け、秋の臨時国会入管法改正案を提出する方針。技能実習制度の修了者や修了と同等の技能や日本語能力を問う試験に合格した外国人を対象に、最長5年の就労期間を認めるもので、政府は来年4月創設を目指す。
創設する在留資格は「特定技能(仮称)」で、農業や介護、建設など5分野を対象にする方針。業種横断の基本方針として、3〜5年の技能実習(2号か3号)修了者か、修了と同程度の技能・日本語能力を問う試験の合格者を対象にする。報酬額は日本人と同等以上。移民政策とは区別するため、家族の帯同は認めず、就労期間も5年を上限とする。
基本方針を踏まえた上で、各業種の所管省庁や法務省で業種別の方針を定める。例えば、試験で求める日本語能力は、上位の「N1」から5段階ある中の4番目に当たる「N4」が基本。ある程度日常会話ができる水準だ。一方で農業は介護などと比べて会話の機会も少ないため、N4水準までは求めない方針だ。
一方、技能実習制度は、あくまでも母国への技能移転が目的。そのため、政府は国家戦略特区で農業での外国人労働者の受け入れを解禁したが、外国人には技能実習修了後、1年以上の帰国を要件とした。新たな在留資格でも、実習終了後、一定期間の帰国を求めるか、継続して就労を認めるかは今後詰める。日本人との競合回避へ、外国人の受け入れ人数に上限を設けるかどうかといった点も、検討課題となりそうだ。
国家戦略特区では、秋にも外国人労働者の受け入れが始まる。大幅な規制緩和に区域限定で検証して問題点などを踏まえた上で、全国展開の是非を判断する。新たな在留資格の創設は、こうした手順を経ずに全国展開に踏み出すもので、「企業の農地所有解禁など、他の規制緩和での安易な全国展開に飛び火しかねない」(農業団体関係者)との懸念も上がっている。