自民研修会 「森友」釈明に不満の声 地方議員、改憲しらけムード - 毎日新聞(2018年4月21日)

https://mainichi.jp/articles/20180421/ddm/005/010/065000c
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自民党は20日、党所属の地方議員約800人を集めた研修会で、党の重要課題を説明した。安倍晋三首相の悲願である憲法改正に向け、党改憲案を地方に浸透させる異例の会合だったが、党の顧問弁護士が唐突に森友学園問題を解説し、報道批判を展開。政権の不祥事が相次ぐ中、来春の統一地方選を控える出席者からは不満が漏れ、会場に改憲の熱気は薄かった。【田中裕之、小田中大】
出席者によると、顧問弁護士は会場に森友学園問題などの経緯を記したスライドを映しつつ、「うそを書くとフェイクニュースだ。(首相の妻)昭恵さんが出てくる前に(国有地売却の)話は決まっていた。関係したという報道があるが、事実関係は違う」などと断言した。こうした説明の場は研修会の予定に入っておらず、地方議員に「真相」を伝えるため、執行部が急きょ設定したとみられる。
さらに研修会の出席者に対しては、森友、加計学園問題を巡る朝日新聞の報道を「捏造(ねつぞう)」だと非難する文芸評論家の書籍が配られた。
異例の対応に困惑する地方議員も目立ち、「研修会を党総裁選の地ならしに使っているのではないか」との疑問の声が漏れた。首相は9月の総裁選で3選を目指し、地方票固めを急いでいる。青森県議は「こんな説明でいいのか。信なくば立たずだ。このまま安倍さんでいいのかと皆心配している」と語った。
改憲については、党の細田博之憲法改正推進本部長が、党のまとめた「自衛隊」明記など4項目の条文案を説明し、各地で機運を高めるために協力を求めた。政務調査会の各部会長らは働き方改革、地方創生などの政策について講義した。
訪米から帰国して会場へ直行した首相は、非公開の講演で一連の不祥事を陳謝したが、加計問題などには触れず、出席者から直接批判が出る場面もなかった。
だが不祥事が相次ぐ中、地方議員は内閣や党の支持率低下が統一地方選を直撃することを懸念。保守王国・福井の県議は「改憲は安倍さんの個性だ」と理解を示す一方、止まらない不祥事に「危機管理がなさすぎる。がっかりだ」とこぼした。
森友問題への釈明に対し、別の県の県議は「かえって逆効果だ。あれじゃ地元で説明できない」とあきれ、山形県議は「安倍さんでは統一選を戦えない」と漏らした。ある参加者は「頑張ろうという熱気もなかった。『来年また来よう』とは思えない研修だった」と突き放した。
地方側の冷ややかな反応に、首相の出身派閥・細田派の議員は「首相の周りの人は、政権が置かれた状況の重大さを分かっていない」とつぶやいた。