首相、自衛隊明記に意欲 市民「改憲より森友解明を」 - 東京新聞(2018年3月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018032602000127.html
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自民党は二十五日、党大会を東京都内のホテルで開いた。安倍晋三首相(党総裁)は演説で、改憲について「自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とう。これこそが今を生きる政治家、自民党の責務だ」と呼び掛け、自衛隊を明記する改憲に強い意欲を示した。 (篠ケ瀬祐司)
首相は自衛隊明記に緊急事態条項や教育充実、参院選「合区」解消を加えた改憲四項目について、党内で議論が進められたことに関し「いよいよ結党以来の課題である憲法改正に取り組む時が来た」と強調した。
だが、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題で、日本維新の会などが自民党との改憲論議に慎重姿勢を示し、首相が目指す年内の改憲発議は難しい情勢だ。
首相は、森友学園問題について、演説の冒頭で「行政全般の最終責任は私にある」と陳謝。全容解明に努め、再発防止に向け「組織を根本から立て直していく」と訴えた。
首相演説に先立ち二階俊博幹事長は、改憲四項目について「一定の方向性を得た。この案をもとに衆参両院の憲法審査会で議論を深め、各党の意見も踏まえて原案を策定し、発議を目指す」と報告。党大会では具体的な条文案を示さず、了承手続きもなかった。
二階氏は党大会終了後「党大会という、党の最も重要な会議で総裁が力を込めて訴えた。決意は多くの国民に伝わったと思う」と記者団に指摘。発議については「年内でなくても、いつでもということではまとまらない」と年内を目指す考えを明らかにした。
党大会では、改憲の「実現を目指す」ことや来年の統一地方選参院選での「必勝に向けた態勢の構築」などを盛り込んだ二〇一八年運動方針を採択した。
自民党はすでに改憲四項目の条文案をまとめている。二十四日の党会合で示された九条改憲案は、新たに「九条の二」という条文を設け、戦力不保持をうたう九条二項の下でも「必要な自衛の措置」をとることを妨げないと規定。「そのための実力組織」として「自衛隊を保持する」とした。


◆新宿 ふくらむ抗議
安倍晋三首相が自民党大会で憲法九条改憲に意欲を示した二十五日、東京都内の各所では、安倍政権への抗議集会が開かれ、市民らが「改憲よりも森友学園問題の真相解明が必要だ」との声を上げた。
新宿駅東口前で開かれた改憲反対集会には、約三百人が参加。「九条の会」事務局長の小森陽一東大教授は「公文書改ざん問題で、安倍政権は一年間も国民をごまかし続けてきた。はっきりと、真実を明らかにさせなければいけない」と強調。「日本を戦争する国にさせようとしている安倍政権の国家の私物化に本質がある」と訴えた。
集会に参加した若者でつくるグループ「未来のための公共」メンバーの大学生中山美幸さん(23)は「連日見苦しい政治を見せられている。安倍政権は国民をなめすぎです。声を上げなければ政権に見下されてしまう」。長野県飯田市から駆けつけたアルバイト土井祐子さん(63)は「いても立ってもいられず来た。ウソばかりの政治家に改憲を進めてほしくない」と話した。
新宿・伊勢丹前では「内閣総辞職を求める緊急大街宣」があり、約八千人(主催者発表)が歩行者天国を埋め尽くした。立憲民主、共産、民進などの野党幹部らもマイクを握り「安倍首相に改憲を語る資格はない」などと訴えた。 (原昌志)