森友文書改ざん 首相の影響排除できぬ - 東京新聞(2018年3月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018032002000173.html
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森友学園への国有地売却に関する決裁済み文書を、財務省がなぜ改ざんしたのか。安倍晋三首相自身は否定するが、内閣総辞職議員辞職に言及した首相答弁の影響は排除できないのではないか。
学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐり、参院予算委員会できのう集中審議が行われた。
しかし、誰が何の目的で文書を改ざんしたのか。そもそも八億円もの値引きがなぜ行われたのか。政治家らの関与は直接的にも間接的にも全くなかったのか。官僚らによる忖度(そんたく)はなかったのか。問題解明には程遠い。
真相を明らかにするため、国会は国政調査権を発動すべきだ。財務省前理財局長の佐川宣寿前国税庁長官に加え、首相夫人の安倍昭恵氏、夫人付き政府職員だった谷査恵子氏の証人喚問も求めたい。
きのう、特に追及されたのは、文書改ざんに、首相の答弁が影響したのか否かである。
首相は昨年二月十七日の衆院予算委で森友学園への国有地売却に「私や妻が関係していれば、私は間違いなく首相も国会議員もやめる」と答弁している。財務省が文書改ざんに手を染めたのはこの後の二月下旬から四月にかけてだ。
首相は削除された内容が「答弁をひっくり返すような記述では全くない」として、改ざんへの自身の影響を否定したが、財務省の太田充理財局長は「首相なり大臣なり、政府の答弁は気にしていないと言えるほどの材料は持ち合わせていない」と述べた。
首相が直接指示していないにしても、財務省にとって首相答弁が文書改ざんの主要な動機になったと考えるのが自然ではないか。
首相が自らの影響力をことさら小さく見せようとするのは、問題の核心である八億円もの値引きを含めて学園に異例の対応が繰り返し行われていたことへの関わりを否定するためでもあるのだろう。
しかし、首相自身が認めるように昭恵氏が一時、学園の名誉小学校長を務めたことに国民は疑いの目を向けている。首相により近い立場の官僚たちが、首相らの圧力を感じ取って当然だ。
文書改ざん公表後に行われた報道各社の世論調査では、内閣支持率が10ポイント程度急落し、軒並み30%台になった。いずれも第二次安倍政権発足後、最低レベルだ。共同通信社の調査では「首相に責任がある」と答えた人は66%に上る。国有地売却問題に対する国民の目は厳しい。誰かに責任を押し付けて乗り切れるような話ではない。