前川講師問題 文科省とのメール公開 名古屋市教委 - 毎日新聞(2018年3月16日


https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/040/121000c
http://archive.today/2018.03.17-005041/https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/040/121000c

文部科学省前川喜平・前事務次官名古屋市立八王子中の授業で講師を務めた経緯の報告と録音データの提供を文科省が市教育委員会に求めた問題で、市教委は16日、文科省とのメールのやりとりを公開し、記者会見して内容を説明した。文科省のメールは、天下り問題で次官を辞した前川氏の経歴などに触れ、講師を頼んだ理由を繰り返し聞くもので、市教委は「講師に適格ではないと文科省が考えている」と受け取れる文面だったと明かした。
文科省からの質問と追加質問、市教委からそれぞれへの返信のメール計4本などA4判22ページが公開された。
市教委によると前川氏は2月16日、八王子中の総合学習の公開授業で講演した。文科省から3月1日に最初のメールが届いた。15項目にわたり、前川氏を招いた経緯や目的、保護者の反応などを尋ね、録音データの提供も求めるものだった。前川氏が次官を辞職した経歴に加え、「いわゆる出会い系バーの店を利用」と言及し、「道徳教育が行われる学校の場」に前川氏を招いた理由を「具体的かつ詳細に」示すよう求めた。
授業の狙いについて、市教委は「前川さんの中学生時代、文科省時代、退官後の生き方をキャリアの参考にしてほしかった」との旨を3月5日夕に返信すると、追加質問が翌朝に届いた。再び経歴などを持ち出し「前川氏が、停職相当となった事実を校長は認識していたのか」と問うた。
八王子中の上井(うわい)靖校長は、前川氏を選んだ理由を再三問われたことから「そこを詳しく知りたいんだと感じた」と会見で述べた。また、「3年ほど前に聞いた前川氏の講演が非常に分かりやすく、聞き手にも考えさせる内容だった」ことから講師に選んだと説明した。
同席した市教委の藤井昌也指導室長によると、個別の授業内容について文科省からの問い合わせは異例。追加質問がすぐに届いたことで「あまりに早くて驚いた。すごい関心を持っている」と感じたという。一方で「我々は多様な観点を大切にしており、人選が間違っていたとは考えていない。今回のことが外部から人を招く障壁にならないように注意していきたい」と述べた。
録音データは前川氏の許諾がなかったため、文科省には渡していないという。
河村たかし市長も16日、報道陣の取材に応じ、「ちょっとやり過ぎだと思う。『国の言うことを聞け』ということでしょう。教育委員会も(文科省に)ちょっとは反発して、対応を議論してもらわんといかん」と文科省を批判した。【三上剛輝、山衛守剛】