(本島に陸自ミサイル)「軍事要塞化」が顕著に - 沖縄タイムズ(2018年2月28日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/215664
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沖縄で自衛隊増強の動きが急だ。
地上から艦艇に対処するため、政府が陸自の地対艦誘導弾(SSM)のミサイル部隊を新たに沖縄本島へ配備を検討していることが分かった。中国海軍の艦艇が沖縄本島宮古島間を頻繁に航行するようになっているからだという。
公海を通過しても国際法上の問題はないが、2008年11月に中国海軍の駆逐艦など4隻が同海域を初めて通過して以来、中国海軍の艦船や軍用機の飛行が常態化している。
自衛隊の新設計画はこれだけではない。
離島奪還作戦の専門部隊で日本版海兵隊といわれる陸自の「水陸機動団」が3月末に陸自相浦駐屯地長崎県)を拠点に2個連隊、約2100人態勢で発足する。離島有事を想定した部隊だ。3個連隊目は20年代前半、在沖米海兵隊約9千人がグアムに移転する計画があることから、米軍キャンプ・ハンセンへの配備が取りざたされている。
建設中の那覇空港の第2滑走路は増加する観光客に対応するためだけではない。
空自那覇基地はF15戦闘機部隊を1個飛行隊から2個飛行隊の約40機に倍増。第9航空団を編成しており、F15戦闘機部隊の増強にも対応しているのである。
那覇基地には尖閣諸島などを監視する早期警戒機(E2C)を運用する飛行隊も新設され、活動している。
沖縄の負担軽減を目的としたSACO(日米特別行動委員会)合意と、かけ離れた「軍事要塞(ようさい)化」が進んでいるのである。

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防衛省は南西地域の防衛態勢の強化を着々と進めている。17年3月に与那国島に、航空機や艦船をレーダーで監視する沿岸監視部隊(約160人)を配置した。
宮古島では地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊、警備部隊(計700〜800人)の配備に向けた工事に着手している。
石垣島でも同様の部隊(計500〜600人)を配備する計画である。奄美大島では18年度末の部隊(計約550人)配備に向け、工事が進んでいる。
沖縄本島へ配備検討されている地対艦誘導弾は、最大射程百数十キロ。沖縄本島宮古島は約300キロの距離があり、双方に置けば、同海域全体をカバーすることができ封鎖することも可能になる。緊張感が高まるのは間違いない。

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 防衛省は年末までに策定する防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画(中期防)に沖縄本島への地対艦誘導弾の新たなミサイル部隊を書き込むことも想定しているという。防衛省宮古島石垣島への自衛隊配備についてもそうだが、住民への情報開示が不十分なまま進めようとしている。
自衛隊の増強計画と米軍の新基地建設が同時並行的に進んでいる。かつてなかった事態だ。県と、県民を代表する県議会は毅(き)然(ぜん)としてほしい。県民の生命と財産に直結することである。報道が事実かどうか。防衛省に問いただしてもらいたい。