ビラ禁止看板 偽りあった 弁護士「法的根拠は?」→自治体撤去相次ぐ - 東京新聞(2018年2月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018022302000281.html
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街頭宣伝やビラ配りを禁じるため駅前などに設置された看板を巡り、自治体が「設置根拠はなかった」として撤去する事例が神奈川県内で相次いでいる。弁護士団体が「憲法が保障する表現の自由に反するのではないか」と指摘したのがきっかけとなった。同様の事例は全国各地にあるとみられ、弁護士団体は「行政による過剰な規制を防ぐ動きを広げたい」としている。
自由法曹団神奈川支部が二十二日に発表した。それによると、看板は自治体や警察署の名前で「警告 この場所での物品の販売、宣伝活動、ビラ・チラシの配布等の行為を禁止します」「法律により罰せられることがあります」などと書かれている。
支部はこうした看板を新横浜駅横浜市港北区)や橋本駅相模原市緑区)、藤沢駅(同県藤沢市)など八カ所の駅前広場や歩行者通路など公共用地で確認した。
道路交通法では道路に立ち止まって通行を妨げることなどを禁じ、交通への影響が大きい場合は許可制としているが、過去の裁判例ではビラ配布やプラカードを掲げる行為は許可なしでも合法とされる。このため、同支部は看板が表現の自由を保障する憲法二一条に反するとして、法的根拠をただす質問状を先月から各自治体に送った。
これに対し「誤解を招く可能性もある」(横浜市港北土木事務所)と不適切だったことを認める回答があり、市内二カ所で既に撤去したほか、取り外す予定との回答もあった。
同事務所は本紙の取材に「露店を規制するため二〇一三年に警察の依頼で設置したようだが、担当者が代わり詳細は分からない」と説明した。
支部事務局長の川口彩子弁護士は「看板を見て、街頭活動に許可が必要だとか、ここでは活動できないとか思う人もいる。法的根拠はないので看板があっても萎縮しないでほしい」と話している。 (梅野光春)