(政界地獄耳)深まらない自民党内の改憲議論 - 日刊スポーツ(2018年2月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802240000168.html
http://archive.today/2018.02.24-000722/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802240000168.html

★元衆院議長で自民党二階派伊吹文明が22日、国民投票について派閥の会合で言及。首相・安倍晋三が目指す憲法改正案が国民投票で否決された場合について、「責任は実質的には最大与党の総裁にある」と述べた。首相は憲法改正の争点として憲法9条1、2項を維持して自衛隊を明記する改正を訴えているが、自民党内はまとまっていない。その件についても伊吹は「法理的には2項削除が正しい」としながら、「法理的に正しいことは、人間社会ではほとんど正しくない」とした。
★一方、首相は5日の衆院予算委員会で自身の改憲案に関し「自衛隊が合憲であることは明確で一貫した政府の立場だ。国民投票でたとえ否定されても変わらない」と説明した。しかし22日に質問に立った立憲民主党山尾志桜里は「合憲違憲の議論は、自衛権の行使が9条2項に違反するのではないかという関係で言われてきた。首相提案が2項をそのまま残す以上、合憲違憲の議論の余地はなくならない。首相が『党の議論に委ねる』と言うのは無責任ではないか」と強調。首相は「どう書くか、自民党で議論がなされている。政府としては9条1、2項がある上で自衛隊は合憲という立場を取っている。こういう(けんか腰の)議論ではなく、落ち着いた議論をすべきだ」とかわした。
自民党憲法改正推進本部が9条など改憲対象の4項目に関し所属議員に意見を求めていたが、提出したのは元幹事長・石破茂ほか数人。過去の議論の経緯を知るベテラン議員も、改憲議論にはだんまりを決め込む。自民党関係者が言う。「議論に参加できる議員が自民党内にも少ないのと、地元に帰っても改憲に期待する有権者はごく少数。国民的議論どころか、一部の人たちの議論から抜け出せない」。9条維持を目標とする宏池会会長で党政調会長岸田文雄あたりが、「現状のままで良し」と言い出してはどうか。自民党の議論が深まらない。(K)※敬称略