不登校やひきこもり「地域でつながろう」 豊島のNPO法人呼び掛け:東京 - 東京新聞(2018年2月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201802/CK2018020902000141.html
https://megalodon.jp/2018-0209-1003-43/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201802/CK2018020902000141.html

不登校やひきこもりの当事者・家族による地域ごとの人の輪「家族会」の誕生が今春、都内で相次いでいる。広域組織のNPO法人楽(らく)の会リーラ(豊島区)が働き掛けているためだ。「仲間とつながれる場所が地域にあれば、孤立防止になる」。楽の会事務局長の市川乙允(おとちか)さん(71)は、家族が連携する意義を説く。 (中村真暁)
楽の会は関東地区を中心に、広域的に活動する家族会。開設への関わりは地元・北区主催の家族の集まりに参加していた市川さんが五年ほど前、他の家族とともに「不登校・ひきこもりの自主家族懇談会『赤羽会』」を設立したのが最初だった。開催日がこれまで平日だったため、より参加できるように赤羽会は休日にした。中村昭子会長(59)は「市川さんのような社会的資源やシステムに詳しい人の関わりが、重要だった。しっかりとした組織になった」と振り返る。
以来、楽の会の家族が中心になったり、一般からの相談を受けたりして、計十カ所の家族会や居場所の開設支援をしてきた。これまでに開設した八王子市と足立区、中野区のほか、二月には荒川区、三月には杉並区、豊島区、練馬区、日野市、国立市でも新設や、現在あるグループに規約を作って組織化したり、活動を拡大させたりするリニューアルがある。
都によると、十五〜三十四歳のひきこもりの推定人口は約二万五千人(二〇〇七年度)。調査や支援は若年層が中心で、中高年向けは手薄だ。楽の会の会員では四十代以上が四人に一人といい、市川さんは「相談場所が見つけづらい人もいる中、家族会が地元にあれば地域資源を活用し、就労など必要な支援につなぎやすくなる」と指摘する。
市川さんには、不登校を経てひきこもった経験がある娘がいる。「『ひきこもりは、怠けや甘え』というイメージから、当事者も家族も自分を責めてしまう。つらさを吐き出し、安心できる場所が近くにあることは大切」とも強調する。
二月十日午後一時半から、「荒川たびだちの会」(荒川区)のリニューアルを記念する講演会が荒川区ムーブ町屋(荒川七)である。KHJ全国ひきこもり家族会連合会事務局長の上田理香さんが「ひきこもりの理解と対応 そして、将来を考える」をテーマに話すほか、当事者らの体験発表もある。
定員四十人。参加費は一人五百円だが、当事者は無料。要予約。問い合わせや申し込みは、同NPO法人=電03(5944)5730=へ。