(名護市長選の後で)SACO合意 検証急げ - 沖縄タイムズ(2018年2月6日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/205751
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名護市長選に敗れたことで新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力に悲観論が台頭し始めている。
最高裁で敗訴した翁長雄志知事にとって、地元民意の後ろ盾を失った痛手は大きい。戦略の練り直しは急務だ。
実際のところ、名護市民は辺野古の新基地建設をどう見ていたのだろうか。注目したいのは、選挙で示された「民意」と「手法」である。
本紙など3社が共同で実施した出口調査によると、辺野古移設に「反対」「どちらかと言えば反対」は合わせて64・6%に上った。
当選した渡具知武豊氏は「海兵隊の県外・国外移転」を公約に掲げ、選挙期間中、辺野古移設の是非には触れなかった。
辺野古移設に対する反対の声は依然として根強いとみるべきだろう。その反面、「基地問題ばかり主張する『オール沖縄』の手法は通用しなくなった」(自民党県連幹部)ことも否定できない。
辺野古問題を訴える手法が硬直化し、言葉が若者層に届かなかったのは選挙結果を見ても明らかである。
基地問題を巡る世代間の断絶は深い。
選挙で浮かび上がったこうした複雑な現実をしっかりと受け止めることなしに、今後の展望は開けない。
なぜ新基地建設に反対するのか。今、早急に求められているのは何か。県は原点に立ち返って早急に考えを整理し直してもらいたい。
重大な分岐点にあって歴史を変えるのは「決断」である。

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選挙前、普天間飛行場所属のオスプレイやヘリの墜落、部品落下、不時着などの事故、トラブルが相次いだ。
県は米軍に対策を申し入れ、県議会や市町村議会は事故発生のたびに飛行中止などの抗議決議を可決し、米軍に抗議した。年がら年中その繰り返しだ。こんな島は日本中どこを探してもない。
そのような状態が戦後70年以上も続いているのである。
沖縄基地は住宅地と飛行場、住宅地と演習場の距離が接近しすぎているだけでなく、島の周りには訓練空域や訓練海域が張り巡らされている。
事故はどこででも起こりうる。それが沖縄の現実だ。実際、米軍機の事故は至る所で発生している。
県に提案したいのは、沖縄基地の持つ「構造的欠陥」を住民の立場に立って総ざらいし、問題点をまとめ、日米両政府に改善を要求することである。

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安倍晋三首相は、負担軽減を着実に進めたい、と強調する。だが、日米特別行動委員会(SACO)で合意された米軍再編計画の中には、地元負担が強化される事例が少なくない。
辺野古の新基地建設もそうだ。膨大な国費が投入されるにもかかわらず、それに見合った負担軽減にはなっていない。
普天間返還の条件として米軍による那覇空港第2滑走路使用も取りざたされている。
SACO合意を検証し、問題点をまとめ、改善を求めるべきである。