https://mainichi.jp/articles/20171213/k00/00e/040/311000c
http://archive.is/2017.12.13-052835/https://mainichi.jp/articles/20171213/k00/00e/040/311000c
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを広島、愛媛両県の住民が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁(野々上友之裁判長)は13日、申し立てを却下した今年3月の広島地裁の判断を取り消し、四電に運転差し止めを命じる決定を出した。差し止め期限は来年9月末まで。高裁レベルの差し止め判断は初めて。仮処分はただちに効力が生じ、今後の司法手続きで決定が覆らない限り運転できない。
伊方3号機は定期検査のため今年10月に停止。四電は来年2月の営業運転再開を目指していたが、差し止め決定で稼働スケジュールに影響が出ることは避けられない。四電は決定の取り消しを求める保全異議や、仮処分の執行停止の申し立てを広島高裁に行う方針。
伊方3号機は2015年7月、原子力規制委員会が東日本大震災後に作成した新規制基準による安全審査に合格し、昨年8月に再稼働した。住民側は、四電の安全対策は不十分で、事故で住民の生命や生活に深刻な被害が起きるなどとして広島地裁に仮処分を申請。地裁は今年3月に申し立てを却下し、住民側が即時抗告していた。
高裁の審理では、基準地震動(想定する最大の揺れ)の妥当性や火山の危険性などが争点となった。四電は基準地震動について、原発近くの中央構造線断層帯などが延長約480キロにわたって連動した場合などを想定し、最大650ガル(ガルは加速度の単位)と設定。「詳細な調査で原発への地震の影響を把握している」としていた。
これに対し、住民側は「過去の地震記録が乏しく、専門家の間でも統一見解はない」として、想定外の揺れが起きる可能性を指摘。さらに「地滑りや津波などリスクが同時多発的に表面化しかねない。新基準の審査は不十分」と主張した。火山対策についても、降灰時に非常用発電機が壊れる可能性などを指摘していた。
東日本大震災後、差し止めを命じた判決・決定は、関西電力高浜原発3、4号機(福井県、3号機は当時稼働中)を巡る昨年3月の大津地裁の仮処分など4例。いずれも地裁の判断だった。【東久保逸夫】
速報:勝った!伊方広島仮処分即時抗告審決定 - 脱原発弁護団全国連絡会(2017年12月13日)
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/17-12-13/