http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017120802000132.html
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学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部の設置認可を巡り、文部科学省の大学設置・学校法人審議会の審査に関わった複数の委員が七日、本紙の取材に応じた。このうち一人は「認可された加計学園の計画でも国家戦略特区認定の条件を満たしているとは思わない」と語り、「忸怩(じくじ)たる思いだ」と苦渋の決断だったと明かした。 (井上圭子、中沢誠)
「今思えば反対意見を言えばよかったという反省はある」。委員は、七カ月に及んだ設置審の審査を苦々しい思いで振り返った。
委員を束ねる主査から「訴訟になった場合、こういう是正意見の付け方では勝てない」と告げられたのは、認可の是非の最終判断を下す十一月五日だったという。「委員の三分の一ぐらいは圧力と感じていたのではないか。自分も少し感じた。自分一人が反対しても否決されるものでもないし、抑えてしまった」と話す。
委員は、加計側が提出した当初計画について「学生数が膨大。実習時間が絶対的に足りない。獣医学の専門家が作ったとは思えない内容だった」と明かす。
政府は、特区認定に際し、「新たな分野の需要が明らか」「既存の大学・学部では対応困難」など四条件を設けた。政府は加計学園の計画を「四条件を満たしている」と主張している。
しかし、委員は「四条件とは程遠い内容。通常ならある程度練った案を申請してくるのに、(文科省は)加計学園のひどい未成熟な計画を設置審に丸投げしてきた」と証言する。特に委員が問題視したのは「既存の獣医師養成ではない構想が具体化」という条件だ。「病原微生物を扱うはずだったのが、どんどんハードルが下がって骨抜きになっていた。新しくも何でもない構想になった」と振り返る。
文科省の担当者は会議の席で、委員らに何度も「この場は四条件を審査する場ではない」「四条件と切り離して審議してほしい」と伝えたという。「私たち委員だって四条件で審査したら認可できるわけがないという認識だった」と語る。
設置審は認可答申に至るまで加計側に何度か計画改善を求めたが、委員は「認可できる状況に達するために何が足りないかを、設置審が加計側に手取り足取り教えてやったようなものだ。三回も改善を求めたのがその証拠だ」と説明する。
「特区選定の会議のメンバーに獣医学の専門家が誰一人いない中で特区が決まった」。委員は、政府内で進められた特区選定の妥当性にも疑義を示す。委員は「設置審にかかったことで認可に向かう道筋はできていた」と認可ありきの流れだったと証言する。
最後に委員はこう訴えた。「開学したあと、加計学園がどう運営していくのか、これからもチェックしていかなければならない」