戦争体験者の元教諭女性3人 長生中生に、もんぺ姿で授業:千葉 - 東京新聞(2017年12月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201712/CK2017120802000144.html
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戦争体験者で元教諭の女性3人が、戦時中の生活を語り、平和の尊さを生徒とともに考える授業が長生村立長生中学校であった。女性たちは、空襲から逃げるときに味わった恐怖などを話し、「戦争から70年以上たっても、忘れることはできない」と語った。 (黒籔香織)
授業は五日、長生中の多目的ホールであり、一年生百四人が耳を傾けた。話をしたのは、退職した女性教職員でつくる団体「房(ふさ)の会」の石井宣子さん(74)=睦沢町岩井=と、高山幸子(ゆきこ)さん(78)=茂原市小林、斉藤幸子(さちこ)さん(83)=長南町又富の三人。ランドセル代わりに背負った風呂敷や、兵士の無事を祈って女性たちが縫った「千人針」を見せながら、もんぺ姿でそれぞれの体験を語った。
「顔が真っ青になって、しゃがみ込んでしまった。目の前が真っ暗になっているようだった」。高山さんは、白子町の実家に「赤紙」と呼ばれた父親宛ての召集令状が届いたときの母親の様子を振り返った。
高山さんは空襲警報が鳴って、麦畑に逃げ込んだときは恐怖で体が震えたといい、「今でも忘れることができない」と述べた。「戦争でたくさんの人が亡くなり、残された人も大変な苦労をした。二度と戦争が起きず、平和な世が続くようにしたい」と話した。
斉藤さんは、天皇陛下のためとして、戦争に行くことを美化した当時の軍歌を披露。「歌いながら、みんな心の中では泣いていたはず。生きて帰ってきてほしいと思っていたと思う」と語った。
授業後、生徒たちは三人と戦時中に食べていたすいとんを給食で味わった。一年生の中村香音(かのん)さん(13)は「身内が戦争に行った人の話を聞くのは初めてだった。悲しいのに『頑張って』と送り出したと聞き、戦争をしてはいけない理由が前よりも分かった」と話していた。