日米首脳会談 平和的解決で非核化を - 琉球新報(2017年11月8日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-609842.html
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安倍晋三首相と初来日したトランプ大統領が会談し、北朝鮮の核・ミサイル開発政策を変更させるため「圧力を最大限にまで高めていく」ことで一致した。
首相は米国の軍事行動を含む「全ての選択肢がテーブルの上にある」というトランプ氏の立場を一貫して支持した。しかし、軍事的選択は決して認められない。北朝鮮の軍事行動を誘発し、衝突が起きれば甚大な被害を受けるのは日本と韓国であり、とりわけ米軍基地が集中する沖縄の危険度は一層高まる。
先月韓国入りしたマティス米国防長官は「米国の目標は戦争ではなく、完全かつ検証可能で不可逆的な朝鮮半島の非核化だ」と平和的解決を目指す考えを示している。
あくまで平和的解決に向けて日米韓、中国など関係国が外交的手段によって平和的解決を目指すべきだ。日米首脳の共同会見で「中国がさらに大きな役割を果たすことが重要」という認識で一致している。韓国、中国など今後のトランプ氏のアジア歴訪に注目する。
共同会見でトランプ氏は「首相は大量の(米国製)軍事装備を購入するようになるだろう。そうすれば、ミサイルを上空で撃ち落とせる。(米国から買えば)米国で多くの雇用が生まれ、日本はより安全になるだろう」と迫った。
日米間の貿易不均衡の是正を図るために、米国製武器の購入拡大を要求したとも受け取れる。大国の責任者の振る舞いとして疑問が残る。
これに対し首相は「米国からさらに購入していくことになるだろう」と応じた。自民党内には、北朝鮮ミサイルへの対処策として発車直前に拠点を壊滅させる「敵基地攻撃能力」保有論がくすぶる。
防衛費を巡っては、第2次安倍政権発足以降、当初予算ベースで2017年度予算まで5年連続で増加し、5兆円超規模に達した。GDP比1%内に収まっているが、同盟強化を名目に、防衛費がなし崩しに膨れ上がることは避けるべきだ。
一方、安倍首相とトランプ氏は、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について「唯一の解決策」と改めて確認した。
10月の衆院選で4小選挙区のうち3選挙区は新基地反対の候補が当選した。それにもかかわらず、民意を無視し思考停止している日米首脳の姿勢に対し強く抗議する。
両首脳は同時に、辺野古の工事の遅れについて「一層の遅滞が平和および安全を提供する能力に及ぼす悪影響に留意」するとして、着実な進展を求めた。8月の日米の「2プラス2」(外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会)でも、工事遅れは「同盟の能力に及ぼす悪影響」と記載している。基地を押し付けながら、沖縄の民意が日米同盟に悪影響を与えているという脅しは通用しない。