<衆院選>民進と希望の党 「合流」が最善の選択か - 東京新聞(2017年10月3日)

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かつて政権を担った政党の末路としては、あまりにも寂しい。分裂が確定的になった民進党。野党四党の共闘に背を向け、多くは希望の党に合流するが、有権者にとって最善の選択とは言い難い。
民進党前原誠司代表は衆院が解散された九月二十八日の両院議員総会で、同党は衆院選に候補者を擁立せず、立候補予定者は小池百合子東京都知事が代表を務める「希望の党」に公認申請することを提案し、了承された。事実上の合流となる異例の対応だ。
前原氏は「政権交代を実現する、もう一度大きなプラットフォーム(基盤)をわれわれ自身がつくるということだ」と強調した。
その狙いは理解できなくはないが、見通しは甘かったようだ。
小池氏は民進党出身者を、憲法改正や安全保障政策をめぐる姿勢で選別する方針を示し、排除される側のリベラル系らが反発。枝野幸男官房長官らは新党「立憲民主党」結成を表明する一方、野田佳彦前首相、岡田克也元外相らは無所属での立候補となる。
民進党を支持する連合が、希望の党を支持せず、候補の個別支援にとどめるのは当然だろう。
自公政権に対抗する勢力は、日本維新の会と連携する希望の党と旧民進党リベラル系、共産、社民両党の勢力とに分断される。政権交代を実現する大きな基盤になるとは、とても言い難い。前原氏の決断は適切だったのか。
自民党に対抗する勢力が分裂することの最大の弊害は、民意と議席数との乖離(かいり)である。
共同通信社が行った最新の全国電世論調査で、安倍晋三首相の下での憲法改正に賛成する人は34%、反対は53%に上る。しかし、今度の衆院選ではどの政党が、安倍首相の下での改憲に反対する人たちの受け皿となるのか。
これまでは民進党という大きな勢力があったが、合流先の希望の党は「改憲政党」を標榜(ひょうぼう)する。今の選挙情勢では、改憲反対派が過半数を得るのは難しく、民意との隔たりはますます大きくなる。
希望の党は、政権交代を目指しているが、自民党と理念・政策がどう違うのか分かりづらい。そもそも小池氏や若狭勝衆院議員は自民党所属だった。
希望の党自民党の補完勢力とはいわないまでも、リベラル勢力を切り捨てた「保守二大政党制」への動きが、有権者にとって本当にいいことなのか。私たち自身が慎重に判断する必要があろう。