幼児教育無償化 最大1.2兆円、政府試算 - 毎日新聞(2017年9月30日)

https://mainichi.jp/articles/20170930/k00/00m/010/206000c
http://archive.is/2017.09.30-002812/https://mainichi.jp/articles/20170930/k00/00m/010/206000c

安倍晋三首相が掲げている幼児教育・保育の無償化に、最大約1兆1700億円かかるとの政府試算が29日、判明した。首相は今回の衆院選で消費税率10%への引き上げによる増収分の使い道を変更し、教育無償化などに2兆円規模を充てる方針を訴えているが消費税増税の是非や増収分の使途が争点となる。【工藤昭久】
内閣府の試算によると、3〜5歳児の幼児教育・保育を完全に無償化すると約7300億円、さらに0〜2歳児も完全に無償化すると約4400億円かかり、合計は約1兆1700億円となる。ただ、首相は25日の記者会見で、0〜2歳児については無償化の対象を低所得層に絞る意向を示しており、収入制限を設けると必要額は減る。世帯収入680万円以下を対象とした場合は約2300億円、360万円以下まで絞ると約500億円になり、合計は1兆円を下回る。2兆円の残りの部分は大学生の給付型奨学金の拡充、待機児童解消に向けた保育の受け皿整備などに充てる方針だ。
安倍政権は2兆円の財源として、消費税率8%から10%への引き上げによる増収分約5.6兆円のうち、借金返済に充てる予定だった4兆円から1.7兆円程度を充当することを想定。残りの3000億円程度は、歳出削減や社会保険方式で集める「こども保険」などの方法で捻出することを検討する。
幼児教育・保育の無償化は、首相が掲げる「人づくり革命」の目玉の一つ。首相は消費税増収分の使途変更による子育て支援の充実を訴えて解散に踏み切った。一方、希望の党の代表、小池百合子東京都知事は消費税増税の凍結を訴えており、大きな論点になっている。