衆院選 リベラル票はどこへ 選挙難民状態 - 毎日新聞(2017年9月29日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170930/k00/00m/010/021000c?inb=ys
http://archive.is/2017.09.30-002618/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170930/k00/00m/010/021000c?inb=ys

今回の衆院選で「自公VS希望」と政権選択の様相が強まる中、改憲を急ぐ安倍晋三首相や安全保障関連法に批判的な無党派のリベラル層が危機感を募らせている。彼らの票はどこへ向かうのか。
<大きな変革は望まないけれど安倍政権に違和感があって、さらに改憲の動きにうさん臭さを感じている人たちは一体どこに投票すればよいのか>。ツイッター上には戸惑うリベラル層の投稿があふれている。<投票先がほとんどなくなってしまった。いわゆる選挙難民状態>とも。
「前原(誠司・民進党代表)さんの選択には正直失望した。受け皿が消えました」。国会前で2年前、安保関連法反対運動が盛り上がった。そこで活躍した学生団体シールズの元中心メンバーで明治大大学院生の千葉泰真さん(26)は困惑を口にした。「政権選択の構図が鮮明になればなるほど安保法制の問題は埋没してしまう」
シールズは、昨年の参院選で実現した民進や共産など4野党の共闘でも一役買った。今回は野党共闘の動きが希望の登場で吹き飛んでしまった。共産党関係者は「リベラル票の受け皿になっても、政権選択の構図では埋没する」と焦る。
自民のスローガン「日本を取り戻す」と希望の「日本をリセット」の二者択一にツイッター上で疑問を表明している中野晃一・上智大教授(政治学)は言う。「希望の党はすべてが未知数。政権選択の構図のもと、自公と希望が多くの議席を取るのは確実だが、リベラル層も含め有権者はその先に待つ展開を思い描く必要があります」
野党共闘を後押ししてきた「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は29日、民進の希望への合流方針について「市民と野党の協力の枠組みが損なわれ、力不足をかみしめている。共闘再生の可能性を模索し続けたい」との見解を発表した。【岸達也】