ブラジル当局「買収」と結論 東京五輪招致は“真っ黒”だ - 日刊ゲンダイDIGITAL(2017年9月17日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213735

やっぱり真っ黒だった――。2016年のリオ五輪と20年の東京五輪招致を巡る買収疑惑。当時、国際オリンピック委員会(IOC)委員で国際陸連会長だったラミン・ディアク氏(セネガル)を父に持つパパマッサタ・ディアク氏に対し、ブラジル司法当局は買収目的で多額の金銭が渡った可能性がある――と結論づけた。英紙ガーディアンが報じた。
東京が招致に成功した2カ月後の13年11月、東京五輪招致委が2.3億円でコンサルタント契約を結んでいたシンガポールの顧問会社から、パパマッサタ氏がパリで高額の時計や宝石を購入した店側に8万5000ユーロ(約1100万円)が振り込まれた。当局は口座記録も確認しているという。招致委が顧問会社を通じてショッピングの肩代わりをしていたわけで、もはや買収は明らかだ。
この買収疑惑は、日本では“決着済み”とされていた。日本オリンピック委員会(JOC)が設置した調査チーム(座長・早川吉尚立教大教授)は昨年9月、ディアク親子や顧問会社への聴取を一切せずに、「違法性はない」と結論付けていた。今回の報道が事実なら、やっぱり調査がデタラメだったことになる。

■知らぬ存ぜぬを決め込むJOC
JOCは「報道は承知していますが、現段階で昨年の調査チームの報告からスタンスは変わっていません」(広報企画室)と回答した。東京都は小池知事が立ち上げた五輪・パラリンピック調査チーム(昨年12月解散)について「買収疑惑は一切調査していません」(都政改革本部事務局)と言い、五輪組織委は「招致の過程には関わっていないため、コメントする立場にはありません。私たちは、東京が最も優れたプレゼンテーションを行ったため開催都市として選ばれたと信じています」(戦略広報課)とコメント。要するに、日本の五輪関係者は、不正を見ようとせず、知らぬ存ぜぬを決め込んでいるのだ。

元特捜検事の郷原信郎弁護士が言う。

「そもそも昨年の調査チームの結論は、当事者の話も聞いておらず、何の意味もないもので、論外です。当局の捜査を待っていましたが、今回ブラジルの司法当局が買収の可能性にまで踏み込んだと報じられたことは注目すべきです。ブラジル当局、連携して捜査していた仏当局の正式発表が待たれます。五輪開催一色になりつつありますが、捜査の結果いかんでは、東京五輪開催の是非を含めて、今からでも改めて問い直すべきでしょう」
まもなく臭いもののフタが開く。