(政界地獄耳)政権批判「福田の声」無視するな - 日刊スポーツ(2017年8月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1868325.html
http://archive.is/2017.08.07-013748/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1868325.html

★元首相・福田康夫と言えば冷静沈着でクールなイメージだが、意外と感情をあらわにすることもあった。福田内閣では官房長官を現首相・安倍晋三が務めたが、安倍はどんなことを学んだのだろうか。福田内閣は今問題となる内閣人事局や公文書管理体制を早くから訴えてきた。「政府や自治体が持つ記録は、国民の共有財産なのだから、大事に保存して次世代に引き継がなくてはいけない」という発想が、今の霞が関幹部や政府中枢に理解が及んでいないことが最大の失敗だ。
内閣改造と前後して、福田は安倍政権に苦言を呈すインタビューを受けた。「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている。官邸の言うことを聞こうと、忖度(そんたく)以上のことをしようとして、すり寄る人もいる。能力のない人が偉くなっており、むちゃくちゃだ。自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ。(内閣人事局について)政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」とした。
★また安倍内閣を「(自民党内に)競争相手がいなかっただけだ。(脅かすような)野党もいないし、非常に恵まれている状況だ。そういう時に役人まで動員して、政権維持に当たらせてはいけない」。これほど痛烈な政権批判はない。福田は派閥経由で安倍に直接苦言どころか直言も可能な立場だ。それをわざわざ取材に答える形でメディア経由で伝える手法を選んだ。それ相当の思いがあったはずだ。ところが内閣人事局について変えていこうとか、公文書についての議論を深めたいという声は党からも閣内からも聞こえてこない。福田の声に正面から向き合わずして改革も革命もないはずだ。無視するな。(K)※敬称略

関連サイト)
福田元首相、安倍政権を批判 「国家の破滅近づく」 - 共同通信 47NEWS(2017年8月2日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20170802#p4