http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017072802000263.html
https://megalodon.jp/2017-0728-1853-38/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017072802000263.html
国が朝鮮学校を高校無償化の適用対象外としたのは違法として、大阪朝鮮高級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市)が処分の取り消しと適用の義務付けを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は二十八日、原告側の全面勝訴を言い渡した。同種訴訟で初の判決だった広島訴訟と逆の結論となった。
西田隆裕裁判長は判決理由で、国が朝鮮学校を無償化の対象外とする省令改正をしたのは「拉致問題の解決の妨げになり、国民の理解が得られないという外交的、政治的意見に基づいたものだ」と指摘。当時の下村博文文部科学相の判断は、教育の機会均等の確保とは無関係なもので「法の趣旨を逸脱しており違法、無効だ」とした。
国側は朝鮮学校について、北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係を挙げ、生徒に対する就学支援金が授業料に充てられない懸念があると主張。判決は大阪朝鮮高級学校が法令違反による行政処分などを受けたことはなく、特段の事情がない限り無償化が認められるべきだとして退けた。
大阪朝鮮学園は「行政の不当な差別行為を司法が取り消す画期的な判決だ。子どもたちの民族教育の権利が認められ、保障されたのをうれしく思う」との声明を出した。
判決などによると、高校無償化制度は民主党政権当時の二〇一〇年四月に導入され、当初は朝鮮学校も審査の対象となったが、同年十一月の北朝鮮による韓国砲撃で手続きが中断。直後に適用を申請した大阪朝鮮学園に対し、文科省は再び自公政権となった後の一三年二月、拉致問題などを理由に対象外とした。
今月十九日の広島地裁判決は「国の判断に裁量権の逸脱、乱用があるとは認められない」として原告側の請求を全面的に退けた。