言わねばならないこと(95)だれの子も ころさせない 「ママの会」発起人・西郷南海子さん - 東京新聞(2017年7月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2017071902000161.html
https://megalodon.jp/2017-0719-0936-16/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2017071902000161.html

他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とした安全保障関連法が、衆院で審議中だった二〇一五年七月、「ママ」という切り口からも反対できるんじゃないかと、フェイスブックで「安保関連法案に反対するママの会」を一人で立ち上げた。一歳、四歳、七歳の三人の子育てで身動きできなかったが、できることを身の丈でやろうと。
全国のママが「私もやる」と言ってくれ、全都道府県にママの会ができた。今も安保法廃止や米軍基地問題を訴え続けている。
ママたちは、他人を傷つけずに生きたいというところでつながっている。例えば武器輸出で会社が潤い、収入が増えても、その武器で誰かが傷つくなら全然うれしくない。「だれの子どもも、ころさせない」がママの会の合言葉だ。
共謀罪」法施行で、やはりすごく萎縮してしまう。市民運動は一人では力が弱いので仲間がほしい。その気持ちや行動が「組織的犯罪集団」や「準備行為」と言われたらどうしたらいいのか。署名や要望書を届ける場にいた人たちも、来られなくなってしまう。国家権力という得体(えたい)の知れない怖さと今、戦っている。
でも、悲観する必要はない。まともな国会答弁もせず、さまざまな法律を成立させた政権の稚拙さに気づけば「あんなことしかできないんだ」「次を探そう」と思える。大きな気持ちでぶつかっていきたい。
東京都議選でも自民党が歴史的大敗をした。次は安保法や「共謀罪」法を廃止できる国会をつくりたい。「選挙に行こう」というシールをママチャリに張るだけでもいい。身の丈でできることはたくさんある。
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日本を「戦える国」に変質させる安保法が成立して十九日で一年十カ月。お母さんたちは子どもの未来を憂い、立ち上がっています。
<さいごう・みなこ> 1987年生まれ。神奈川県育ち。「安保関連法に反対するママの会」発起人。京大大学院博士後期課程三年生。共著に絵本「だれのこどももころさせない」。