「加計」側から200万円受領 下村氏の釈明は不自然だ - 毎日新聞(2017年7月1日)

https://mainichi.jp/articles/20170701/ddm/005/070/031000c
http://archive.is/2017.07.01-142751/https://mainichi.jp/articles/20170701/ddm/005/070/031000c

学校法人「加計学園」からの資金提供を隠したかったのではないか。そんな疑問がかえって募る説明だ。
自民党下村博文幹事長代行が、2013年と14年に加計学園の当時の秘書室長から、後援会の政治資金パーティー券の購入代金として現金計200万円を受け取っていたことを明らかにした。
いずれも下村氏が文部科学相に在任中だった時期で、政治資金収支報告書には記載されていない資金だ。 同学園系列の岡山理科大教育学部設置が認可されたのも文科相在任中だ。利害関係も否定できない。
下村氏によると、両年とも加計学園以外の計11の個人・企業から集めた購入代金100万円を学園の秘書室長が取りまとめて下村事務所へ持参したという。
まず疑問を抱くのは「本当に11の個人・企業から秘書室長が預かったものなのか」「購入者を分散させて名前を伏せようとしたのではないか」という点だ。
政治資金規正法は一つのパーティー政治団体が個人、企業から20万円を超える支払いを受けた場合、収支報告書に名前を個別に記載するよう義務付けている。11個人・企業の個別の額は20万円以下だから報告書への記載は不要で違法ではないというのが下村氏の説明だ。
だが実際に20万円以下だったかどうかは立証できていない。疑問が浮上した以上、個別の名前と額を公表すべきだろうが、下村氏は「プライバシー」を理由に拒んでいる。これでは説得力がない。
一方で、規正法はパーティー券代金を集めて提供することを「あっせん」と位置付け、集まった合計が20万円を超える場合、あっせん者の名を記載するよう求めている。
下村氏の説明通りだとしても、秘書室長があっせん者に当たり、その記載がないのは規正法違反になる可能性があるということだ。
加計学園側も資金の負担を否定しているが、なぜ秘書室長が取りまとめるのか、説明は不十分である。
安倍晋三首相側近として知られる下村氏は自民党東京都連会長も務めており、「都議選終盤の報道自体が選挙妨害目的だ」と語っている。しかし疑問の解明と選挙とは無関係だ。さらに丁寧な説明を求める。