https://mainichi.jp/articles/20170413/k00/00e/040/179000c
http://archive.is/2017.04.13-005454/https://mainichi.jp/articles/20170413/k00/00e/040/179000c
乱用を懸念「法律が子や孫の代にどう使われるか分からない」
組織犯罪を計画段階で処罰できるようにする「共謀罪」の要件を改めた「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案が衆院で審議入りした。政府は一般人は対象にならないと強調するが、各方面から乱用を懸念する声が上がっている。作家の浅田次郎さんや漫画家のちばてつやさんら表現・出版にかかわる著名人らが東京都内で集会を開き、「内心の自由を侵害する」と訴えた。
7日、約300人を集めた集会は、言論人らでつくる「日本ペンクラブ」が主催して、表現に関わる人たちに参加を呼びかけた。
ペンクラブ会長を務める浅田さんは「私たちはいずれ死ぬが、作られた法律は残る。残った法律が子や孫の代にどう使われるか分からない」と法案が成立した場合、将来にわたって乱用の懸念が続くことを訴えた。
作家の中島京子さんは、「心の中を取り締まるというが、人は本当に思っていることを書いたり、言ったりするかどうか分からない。人の心の中は複雑なものだ」と計画段階で処罰対象になる問題点を語った。さらに処罰対象の罪が277あることについて「(捜査当局が)誰かを取り締まろうと思った時に、どの罪になるのか探すような法律なのではないか。表現の自由でごはんを食べている者として、関係のない法律だとは思えない」と語った。
日本の刑事法は、犯罪を実行したことを処罰することを原則としてきた。長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)は「(法案は)刑法の基本原則を動かそうとするもので、市民生活にも関わり、危険性が高い」と述べた。【青島顕】