「共謀罪」法案を閣議決定 今国会で成立目指す - (2017年3月21日)

http://www.asahi.com/articles/ASK3L03D1K3KUTIL05X.html
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政府は21日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案を閣議決定した。「組織的犯罪集団」が犯罪を計画し、実行に向けた「準備行為」があったときに処罰するという内容。目的について政府は「テロ対策」を強調しているが、野党や日本弁護士連合会は「捜査機関の解釈や裁量に委ねられ、一般市民が対象になる恐れがある」などと反対している。
政府・与党は4月中に法案の審議に入り、通常国会の会期末(6月18日)までの成立を目指す。
国際組織犯罪防止条約TOC条約)の締結に必要だとして、政府は2003〜05年に計3回、「共謀罪」法案を国会に提出。「一般の市民団体や労働組合が対象となる」「思想や内心を理由に処罰される」といった批判が相次ぎ、いずれも廃案となった。
今回は20年の東京五輪のテロ対策を前面に出し、対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と規定。①2人以上で犯罪の実行を計画し、②そのうちの誰かが「物品や資金の手配」「関係場所の下見」といった「準備行為」をした場合――に適用する。「一般市民は対象にならない」と説明する一方、通常の団体が組織的犯罪集団に「一変」した場合には対象になるとしている。
対象となる犯罪の数も、過去の法案より減らした。TOC条約は、4年以上の懲役・禁錮の処罰を受ける「重大な犯罪」を計画した場合に罪を設けるよう締結国に求めており、過去の法案では対象犯罪は約620にのぼっていた。今回も原案では676の罪を挙げていたが、公明党が絞り込みを求め、政府は減らすことを検討。「組織的犯罪集団の関与が現実的に想定される罪」を対象とし、「テロの実行」「薬物」「人身に関する搾取」「その他資金源」「司法妨害」の5分類、計277罪とした。
野党や日弁連、研究者からは、市民が対象になる恐れや監視社会につながる懸念のほか、「対象の罪が多すぎる」「現在の国内法でも条約締結は可能だ」「政府の説明は不十分だ」などの指摘が出ている。(金子元希)