国有地売却額、一転公表 「ごみ処理費8億円控除」 - 朝日新聞(2017年2月11日)

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財務省近畿財務局が学校法人に売った国有地(大阪府豊中市)の売却額を非公表とした問題で、財務省は10日、売却額は1億3400万円だったと明らかにした。鑑定価格は9億5600万円だったが、地下のごみの撤去費8億円以上を差し引いたと説明。「保護者らへの風評リスクを懸念した学校法人から非公表を求められた」としている。
売却された国有地は、国土交通省が管理していた8770平方メートルの未利用地。経緯説明を求めた民進党財務省が示した資料によると、2013年9月、公募に応じた学校法人「森友学園」(大阪市)が小学校用地として取得を望んだ。
一時は定期借地契約などが締結されたが、森友学園が16年3月に近畿財務局に「借地ではなく買いたい」と伝えてきた。財務局から依頼された不動産鑑定士が更地価格を9億5600万円と算出。財務局は地下の廃材、生活ごみの撤去・処理費8億1900万円と撤去で事業が長期化する損失を差し引いた1億3400万円で、同年6月に公共随意契約で同学園へ売ったという。
朝日新聞の取材では、森友学園への売却額は豊中市へ14億2300万円で売られた同規模の近隣国有地の10分の1だった。
公共随契の契約金額は公表が原則だが、近畿財務局は地元市議や朝日新聞による情報公開請求に対し、売却額を非公表としていた。財務省は公表に転じた理由について、「国有地を不当に安く取得したとの誤解を受けるおそれがあると判断し、森友学園が公表に同意した」と説明している。
森友学園籠池泰典理事長は10日の取材に「13日に改めて取材に応じる」としている。籠池理事長は憲法改正を求める日本会議大阪の役員。校舎建設が進む小学校のホームページによると、名誉校長は安倍晋三首相の夫人・昭恵氏。
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一方、11年にこの国有地の取得希望を国に伝えていた別の学校法人は朝日新聞の取材に対し、撤去費を約2億5千万円と見積もっていたと答えた。12年4月に国交省から「大量の埋設物がある」と知らされ、見積もりをゼネコンに頼んだ。撤去費をふまえ、7億〜8億円だった購入希望額を約5億8千万円に下げたが財務局から低いと指摘され、断念したという。
8億円を超える撤去費になったことについて、近畿財務局は取材に「森友学園による基礎工事中、さらに大量の埋設物が地下にあることが分かった」と説明している。(吉村治彦、飯島健太)