台湾 「脱原発法」可決へ 再エネ比率、大幅引き上げ - 毎日新聞(2017年1月10日)

http://mainichi.jp/articles/20170111/k00/00m/030/065000c
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台北・鈴木玲子】台湾の蔡英文政権が2025年までに脱原発を実現するため提案した電気事業法改正案が11日にも立法院(国会)で可決される見通しになった。脱原発が実現すれば、アジアでは初めて。代替の再生可能エネルギーを今後9年間で普及・拡大させられるかが鍵だ。
蔡氏は昨年1月の総統選で脱原発を公約に掲げていた。改正法案では、再生エネ比率を大幅に引き上げるため、電力自由化により再生エネ事業への民間参入を促す。産業界には「電力供給が不安定化し価格の高騰を招く」との懸念があるが、可決は確実視されている。
欧州ではドイツが脱原発に転換したが、アジアでは中国やインドが原発建設を進めている。台湾では、完成した原発3カ所6基(2基は停止)のうち北部の第1、第2原発が人口の密集する台北まで30キロ弱と近く、11年の東京電力福島第1原発事故後に反原発機運が高まっていた。
台湾の原子炉は18年から25年までに順次40年の運転期間が終わる。蔡政権は、運転延長や新規稼働を認めず全原発廃止に持ち込む構えだ。
台湾では電源比率(15年)で原発は14%を占め、代替となる再生エネは4%に過ぎない。改正案では再生エネ比率を20%まで引き上げる計画だ。実現のため台湾政府の傘下にある台湾電力が独占する電力事業への民間参入を認める。再生エネの発電と売電を自由化し、その後、台湾電力を発電、送電で分社化。火力などの他の電力も自由化する。