<汚染廃棄物>試験焼却 宮城・大和町が苦悩 - 河北新報(2016年12月22日)

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161222_13022.html
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東京電力福島第1原発事故に伴う国の基準以下の汚染廃棄物の試験焼却受け入れを巡り、宮城県大和町が苦悩している。結論を出せない浅野元・町長は、19日予定した町議会全員協議会での賛否表明を見合わせた。東日本大震災後に繰り返されてきた廃棄物処理への協力に対する「警戒感」が、町民の間で高まっていることが背景にある。結論を出す27日の市町村長会議まで時間はない。
<「その先」が不安>
「(震災の)がれきの焼却灰、指定廃棄物の最終処分場候補地、そして汚染廃棄物。正直、またかという気持ち。その先に指定廃棄物がまた来るのではないか」。町内の男性農家(71)は心配する。
実際、震災後、廃棄物の町内搬入を巡る動きが相次いでいる。
町は2012年4月、小鶴沢地区にある県環境事業公社の最終処分場(現クリーンプラザみやぎ)へ、がれきの焼却灰など約11万8000トンの埋め立てに同意。搬入には至らなかったものの、13年1月には吉田地区にある黒川地域行政事務組合(理事長・浅野町長)の環境管理センターの一般廃棄物最終処分場への焼却灰2000トンの埋め立て要請にも同意している。
14年1月に国が提示した指定廃棄物の最終処分場候補地問題でも町は候補地になり、16年3月の候補地返上まで賛否で揺れた。

<町長に判断一任>
今回の県の試験焼却を巡っても、町は吉田地区で10、11日に計4回の住民説明会を開催。不安の声が相次ぐ中、浅野町長に判断を一任する形で話をまとめた。
村井嘉浩知事が進める富県戦略により、町内は工業団地に半導体製造大手や自動車関連工場の進出が相次ぎ、人口増加率も全国トップクラスだ。このため、「大和の今の発展を考慮すれば恩恵に報いるべきだ」と試験焼却受け入れに賛意を示す声も町内にある。
浅野町長は「これまでも復興支援に協力してきた。一斉焼却案も理解できる」と受け入れに前向きな姿勢を見せる一方で、「懸念を抱く住民の気持ちも考慮しなくてはならない。簡単ではない」とも語る。
「ぎりぎりまで検討し、総括的に判断したい」と浅野町長。その最終決定を町民が注視している。