(筆洗)自民党はTPP承認案を衆院特別委で強行採決した。 - 東京新聞(2016年11月11日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016111102000139.html
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環太平洋連携協定(TPP)とは、どんなものか。「TPPは、新たな災厄。米国を辱めようとするもの」と言ったのは、ドナルド・トランプ氏だ。
彼は「TPPは日本の為替操作を止めはしない。TPPを止めないとダメだ。米国の労働者を守らなくては」とも語っていた。まるで、TPPは日本などの陰謀とでも言わんばかりだ。
そんなトランプ氏が、米大統領選で予想を裏切って勝利した。世界中に「まさか!」と「なぜ?」が交錯したが、わが国の政界も、!と?には事欠かない。トランプ氏の勝利で早期発効の見込みが消えたTPPの承認案を、衆院で可決した。まさか! という猪突(ちょとつ)猛進ぶりである。
十分な論議は尽くされた、と思う国民がどれほどいるか? 早期発効の見通しが消えた今こそわが国の通商政策や農業について、じっくり議論すべきではないのか? 疑問符を山積みにしたまま、事を進めている。
ちなみにトランプ氏が、安倍首相をこう評したことがある。「彼はとんでもないやつだ、すごいぞ」。何でも、通商問題で米国の交渉相手らを丸め込んでしまう手腕が、とんでもなくすごいというのだ。
その首相は国会で、「わが(自民)党においては結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と明言していたが、自民党はTPP承認案を衆院特別委で強行採決した。いや本当に、とんでもない。