TPP採決を強行 市民の抗議 国会に響く中 - 東京新聞(2016年11月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201611/CK2016110502000150.html
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衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会は四日午後、TPP承認案と関連法案を自民、公明の与党と日本維新の会の賛成多数で可決した。与党は八日の衆院本会議通過を目指す。民進、共産両党は強行採決を巡る発言を「冗談」と話した山本有二農相の辞任を求め、いったん退席したが、与党が採決を強行したため委員長席に詰め寄り抗議した。山本氏は発言を撤回して陳謝し、辞任を否定。民進、共産、自由、社民の野党四党は、農相不信任決議案の提出を検討している。
特別委は予定から約一時間遅れで、塩谷立委員長(自民)が民進、共産両党の反対を押し切って開会を宣言。両党退席の中、維新の質疑と、与党と維新の賛成討論を行った後、採決に踏み切った。民進、共産両党は委員長に激しく抗議した。
維新は、情報公開を積極的に行うことや食の安全確保に努めることを盛り込んだ付帯決議案を提出。与党と維新の賛成で可決した。
山本氏は委員会冒頭に「不用意な発言で、再び大変ご迷惑を掛けたことを心からおわび申し上げる」と、一日に行った自民党議員のパーティーでの発言を撤回して陳謝。発言には、農業関係者への利益誘導ととられかねない部分もあったため「農業関係者にも心からおわびする」と述べた。
塩谷氏は委員会終了後、野党が抗議する中で採決を強行したことについて、記者団に「残念な状況だが(四日の)委員会採決が予定されていた」と説明した。
民進党山井和則国対委員長は記者会見で、与党理事だった自民党議員や山本氏が強行採決に言及したことを受け「結局、このような乱暴な採決が行われたことに強く抗議する。(採決は)無効だ」と述べた。

◆4野党、農相不信任案検討
<環太平洋連携協定(TPP)> 太平洋周辺地域での貿易自由化や投資、知的財産などのルールを決めた包括的な経済連携協定。日本や米国、オーストラリアなど12カ国が参加しており、各国の議会承認などの国内手続きを経て発効すれば、国内総生産(GDP)で世界の約4割を占める巨大経済圏が誕生する。TPPはTrans−Pacific Partnershipの略。