<TPP採決>自民内調整に不手際 「パリ協定」に波及 - 毎日新聞(2016年11月5日)

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環太平洋パートナーシップ協定(TPP)承認案・関連法案をめぐる与野党の対立は「パリ協定」承認案の採決日程に波及した。パリ協定は与野党一致で4日の衆院本会議で承認の予定だったが、自民党内の調整の不手際でTPP採決が優先された。【朝日弘行、高橋克哉】
食い違いは4日午後2時半過ぎに露呈した。野党の抵抗の中で衆院TPP特別委員会が始まった、と聞かされた自民党佐藤勉衆院議院運営委員長が「なんで勝手に開くんだ」と怒りをあらわにした。山本有二農相への辞任要求が収まらず、午後1時開始予定の本会議を遅らせ、議運委で野党と調整を続けていたからだ。TPP委の塩谷立委員長(自民党)や森山裕理事(同)は、佐藤氏に開会を連絡していなかったという。

山本農相の最初の失言は「強行採決するかどうかは佐藤勉さんが決める」だったが、その佐藤氏を省いて採決の動きが強まる皮肉な形となった。これに野党は態度を硬化させ、本会議は開かれなかった。
大島理森衆院議長や竹下亘国対委員長、佐藤氏らの当初の見通しでは、本会議でのパリ協定承認を優先し、その後の予定のTPP委での採決は7日に遅らせることも織り込んでいた。
すれ違いの背景には、野党への配慮を重視する大島議長や佐藤氏と、円満採決は困難とみる塩谷氏らTPP委の現場の思惑の違いがある。政府・与党が「10月中の衆院通過」を目指しつつ、誤算続きで採決日程が何度も後ろ倒しになったのも調整を複雑にした。
民進党泉健太議運委理事は「佐藤氏がTPPの採決を知らなかったのに驚いた。(大戦前の)関東軍と当時の日本政府のような、現場の暴走を抑えられないむちゃくちゃな国会運営だ」とこきおろした。

◇再び解散風か
TPPの衆院通過ずれ込みで今国会の会期延長が不可避となったことで、与党の一部には12月下旬までの大幅延長論も浮上している。早期の衆院解散・総選挙に関する発言は沈静化していたが、延長幅の議論とともに「年内解散」の可能性が再び取りざたされそうだ。
与党内では、安倍晋三首相が早期解散に踏み切る可能性が指摘されていたが、10月の新潟県知事選で与党推薦候補が敗れたことや、「解散風」を吹かせてきた自民党二階俊博幹事長が10月下旬から「解散どうこうということは安倍首相の念頭にはない」とブレーキを踏み始め、当面は遠のいたとみられていた。
会期延長幅が解散戦略と絡められるのは、解散を国会会期中に行う慣例のためだ。12月上旬までの「小幅」に加え、大幅延長が浮上するのは、年内解散の選択肢に改めて注目を集め、勢いづく野党をけん制する狙いもありそうだ。
野党は衆院選に向けた準備が十分とはいえず、早期解散に警戒感がある。民進党野田佳彦幹事長は4日の会合で「解散風が吹いたりやんだりしているが、よく分からない。常在戦場で安倍政権を倒しにいかなければならない」と語った。