http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201610/CK2016102002000158.html
http://megalodon.jp/2016-1020-1412-26/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201610/CK2016102002000158.html
本紙に1月、「平和を思う90歳の新年」と題した投稿が掲載された大石弘子さん(91)=世田谷区=が18日、子育て中の若い母親らに自身の戦争体験を語った。大石さんは「戦争のことをよく知り、平和の尊さを忘れないでほしい」と願う。 (小野沢健太)
投稿は、一月十一日の本紙朝刊発言面「ミラー」に掲載。自身の戦争体験から、憲法九条の意義を強調する内容で「世界に向け、『戦争をしない』と言い続けましょう」と記した。
語る会は、投稿では書かなかった詳しい戦争体験を地元の若い世代に直接伝えようと、大石さんと「成城・祖師谷九条の会」が企画した。
この日は、大石さんの自宅に約十人が訪れた。太平洋戦争が始まった経緯や、勤務先だった銀座・数寄屋橋近くの電機会社で空襲に遭った体験を話し、「道端に死体があるのが日常のような生活だった」と振り返った。
その上で、改憲論議や安全保障関連法などを踏まえ「戦争を想像すらできない平和な世の中になったが、再び昔のような状況になりつつある」「憲法九条は人間の理想。決して手放してはいけない」と呼びかけた。
出席者が「『戦争が嫌だ』などと声を上げられなかったのか」と質問すると、大石さんは「つらい、悲しいとは思ったが、当時は『国のため』と刷り込まれていた。疑問はあまりなかった」と答えた。
小学生の娘がいる主婦木部希(のぞみ)さん(36)は「戦争体験に触れる機会は少ないけど、しっかりと学んで周囲に流されずに考えられるようにしたい」と話していた。