美浜3号、期限切れとの戦い続く 「安全よりスケジュール」と批判も - 福井新聞ONLINE(2016年10月6日)

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原子力規制委員会が5日、関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の「合格証」を決定し、審査は大きなヤマを越えた。審査期限の11月末までに残る手続きは「工事計画」と「運転延長」の審査。規制委事務局の原子力規制庁は「残りの審査も大詰め」としている。ただ、新たな論点が浮上すれば期限切れとなる可能性もあり、なお予断を許さない情勢だ。
美浜3号機は昨年3月に安全審査を申請。その後の審査で基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)が見直され、考慮する揺れは24パターン、最大加速度も993ガルに引き上げられた。このため耐震評価が複雑になり、使用済み燃料プールの燃料収納容器を国内初の構造に変更しなければならなくなった。関電が全ての耐震評価の資料を規制委に提出したのは、今年の8月26日になってからだ。
9月6日の審査会合では、規制庁の山形浩史規制総括官が「当初考えていた予定より1カ月遅れているということは共有できているのか」と指摘。「早く100%のものを出さないと間に合わない。夏前から何となく(関電が)のんびりしている」と詰め寄った。
規制委は再三、審査期限のある美浜3号機、高浜1、2号機について関電側に期限切れのリスクを警告。一方で、規制委は審査が大詰めを迎えていた大飯原発3、4号機を後回しにし、40年超の3基の審査を優先した。
結果として「残りの審査は全般的に細かな直しがあるものの、論点整理はおおむね終わった。期限に関しては悲観的ではない」(規制庁担当者)というところまでこぎつけた。規制委の田中俊一委員長も5日の記者会見で「時間切れを避けたいと、事業者も我々も努力し、一つのヤマ場を越えたことは確かだ」と振り返った。しかし一連の対応は「安全よりスケジュールありき」との批判も根強い。
関電は速やかに工事計画申請の補正書を提出する方針だが、規制庁は「スケジュールに今乗っている作業はこなせても、後出し論点があると困る」とする。
前規制委員長代理の島崎邦彦氏が今年6月、熊本地震を参考に関電大飯原発に関して基準地震動の過小評価の恐れを指摘した問題は、規制委が最終結論を得るまでに1カ月以上かかった。こうした事態が一つでも起これば、期限切れへと傾く。
関電の担当者は審査合格を受け「日々、精いっぱいの審査対応をしている。今後も期限に間に合うよう、真摯(しんし)かつ的確に対応していきたい」と語った。