安保法成立1年 政府、新任務へ準備加速 市民は廃止訴え「共闘」導く - 東京新聞(2016年9月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/CK2016092002000113.html
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他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とした安全保障関連法の成立から、19日で1年となった。この間を振り返ると、政府は米国と軍事的な連携を強めながら、安保法に基づき自衛隊が海外で活動するための準備を加速した。市民団体は廃止に向けて粘り強く活動を続け、野党共闘を後押しする役割も演じた。 (安藤美由紀、北條香子)
安保法は昨年九月十九日に成立し、今年三月二十九日に施行された。日米両政府は昨年十一月、米軍と自衛隊の運用一体化に向けた「同盟調整メカニズム」の運用を開始した。安倍晋三首相は同月、マニラでの日米首脳会談で、安保法成立を受け「新たな協力の序章にしたい」と強調した。
昨年十月には、武器の輸出・購入、他国との共同開発を一元的に行う防衛装備庁が発足した。
二〇一六年度予算の防衛費は当初予算で初めて五兆円を突破。一七年度予算の概算要求額も、安保法の新任務に対応できる新型兵器の取得費が盛り込まれ、約五兆一千七百億円と過去最大になった。
防衛省は今月十四日から、安保法の新任務の実動訓練を開始。南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣される交代部隊への「駆け付け警護」などの任務付与が検討されている。十月の日米共同統合演習「キーン・ソード」、十一月の日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ」でも新任務を反映させた訓練が検討される。安保法は本格的な運用段階に入りつつある。
これに対して市民団体は、安保法の成立直後から廃止に向けて動きだした。
「戦争させない・九条壊すな!総がかり行動実行委員会」は毎月十九日、国会周辺などで反対の声を上げる活動を継続。昨年十二月には「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が発足した。
市民連合は今年七月の参院選一人区で、安保法に反対する野党による統一候補擁立を後押し。統一候補は三十二の一人区のうち十一選挙区で勝ち、一定の成果を挙げたと指摘される。市民が関与する野党共闘は同月の東京都知事選でも実現した。
今月十五日に就任した民進党蓮舫代表は、安保法について「集団的自衛権行使の部分で憲法に抵触する。ほかの野党と協力してきた経緯がある」と、引き続き野党で連携して廃止を目指す考えを示した。
反安保法の動きは司法の場に持ち込まれた。今年四月、憲法が保障する「平和的生存権」が侵害されたなどとして、計約七百人が自衛隊出動の差し止めや賠償を求め、東京地裁などに集団提訴した。