多様な表現で反戦伝えたい 芸術家85人が絵画や立体作品:神奈川 - 東京新聞(2016年8月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201608/CK2016081602000172.html
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イラク戦争に反対して二〇〇三年に結成された全国の芸術家集団の作品展「ノー・ウォー横浜展」が十五日、横浜市中区の県民ホールで始まった。八十五人の芸術家による反戦をテーマにした絵画や映像、立体作品などが並ぶ。発起人の一人で横浜の美術界に貢献してきた画家の稲木秀臣(ひでお)さん(84)は抽象画を出品。「作者の多様な表現を見に来て」と呼び掛けている。二十一日まで。 (加藤豊大)
稲木さんの作品は、縦百二十センチ、横八十センチほどのキャンバスに伸びやかな曲線を六色で描いたアクリル画。タイトルは「魅惑」。生命や生きる喜びを表現したという。反戦や護憲を直接訴えるものではないが、「戦争が起これば芸術家は思い通りに作品を発表できなくなる。この作品展では自由な表現をすること自体が反戦のメッセージになるんです」と作品の意義を解説する。
稲木さんは一九三二(昭和七)年、京都市生まれ。「戦時中は天皇のために命を差し出せと教えられたが戦後その教えはひっくり返った。戦時の言論統制は恐ろしいと感じた」と話す。
会場に並ぶ絵画の多くは抽象画。作家の戦争や平和に対する思いを、見学者それぞれの感性で感じてもらう狙いも。このほか、川崎市でのヘイトスピーチへの反対運動を撮影した写真や、韓国人被爆者らにインタビューした映像作品も並ぶ。
今年で十四回目の開催となるが、命が続く限りこの企画展を続けたいという稲木さん。「若い作家が自分を大切に表現できる場になれば」と話した。
入場無料。問い合わせは同実行委事務局=電090(1263)0843。