旧満州の苦難など体験者に学生が聞く 桜美林大生が映像化:東京 - 東京新聞(2016年7月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201607/CK2016071202000158.html
http://megalodon.jp/2016-0713-0905-29/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201607/CK2016071202000158.html

桜美林大学(町田市)の学生が戦争をテーマに撮影した映像作品の上映会が、八月三日に市生涯学習センター(原町田六)で開かれる。戦後七十年の昨年、ゼミの課題で制作したドキュメンタリーで、戦争体験者へのインタビューなどを通じ、平和な今の時代に過去と向き合おうと自問する若者の姿が映し出されている。 (栗原淳)
「戦争の軌跡 今考える私たちの未来」と題した約四十分の作品で、中山市太郎教授のゼミでジャーナリズムを学ぶ男女四人が制作した。
中国東北部(旧満州)で生まれ育ったという八十代の女性に取材。敗戦で日本人と中国人の立場がひっくり返り、元憲兵が逃亡の末に処刑されたこと、引き揚げる際に現地の人が泣いて別れを惜んだことなどを聞いた。そして学生グループSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)など、政治について積極的に発言し行動する大学生にも触れ、「頼もしい。あなたたちがアピールしなきゃダメな時代よ」と諭された。
戦時の若者は「兵隊は死ぬもの」であり、国のために命をささげることが当然と教えられていた。制作メンバーの一人で、リベラルアーツ学群四年の小阪美優さん(21)は今とのあまりのギャップに「怖くなった」と振り返った。「教育方針次第では当時に戻る可能性もある。そう考えるとぞっとする」
四人は政治活動に参加したことはなかった。制作時、国会前で展開されていた安保法制に反対する運動も冷めた目で見ていたが、実際にデモ隊に分け入ってカメラを回すと、同世代の若者が国に自分の意見をぶつける姿に刺激を受けた。個人で参加していた女子大生から「未来は私たちのもの。力を貸してほしい」という声を引き出した。
制作メンバーの同学群四年、臼井真帆さん(21)は「私たちには戦争体験者の生の声を後世に伝える責任がある。上映には意味があると思う」と話した。
上映会は市生涯学習センター七階ホールで午後二時から。終了後、元内閣官房副長官補の柳沢協二氏と学生との座談会も予定。問い合わせは同センター=電042(728)0071=へ。