http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041402000129.html
http://megalodon.jp/2016-0414-0936-37/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041402000129.html
東京電力福島第一原発事故による首都圏への放射能汚染問題で、本紙は昨年に続き、茨城、千葉両県にまたがる水郷地帯の状況を独自に調査した。前回と比べ放射性セシウム濃度の上下はあるものの、手賀沼(千葉県)や牛久沼(茨城県)の汚染は高止まりの状況。印旛沼(千葉県)から花見川河口(同)へとたどったところ、沼から川、東京湾へと汚染が拡散している状況が分かった。 (山川剛史、荒井六貴)
調査は今年一月、水郷一帯の沼や川計二十四カ所で採泥器を用いて底の堆積物を採取。合わせて河川敷など採取地近くの土も採取した。乾燥させ落ち葉などを取り除き、樹脂容器に詰め、それぞれ八時間かけてセシウム濃度を測定した。
その結果、汚染が目立ったのは手賀沼。沼そのものは昨年より少し低下傾向が見られるが、上流にある調整池の中央では、一キロ当たり五八六七ベクレルを検出した。
採取点近くの地上の土は九〇六九ベクレルあり、分別管理が求められる指定廃棄物(八〇〇〇ベクレル超)を超える濃度。高さ一メートルの空間放射線量も毎時〇・七マイクロシーベルト近くあった。現場は、すり鉢の底のような場所。雨で増水して汚れた土砂がたまり、水が引いた後に乾いて濃縮する−というプロセスを繰り返し、局所的に濃度が高くなったとみられる。
昨年一〜二月の前回調査の後、同九月に実施した東京湾調査では、花見川河口で高い汚染が確認された。その汚染源が印旛沼かどうかを確かめるのが、今回の調査目的の一つだった。
印旛沼と花見川をつなぐ新川は、水門でせき止められてよどみ、七〇〇ベクレル近くにまで上昇していた。
水門より下流の花見川では、二〇〇〜四〇〇ベクレルに低下。河口に近づくと水量は激減し、堆積物はほとんどなく、採取できなかった。大雨の際には水門から大量のにごり水が放出される。セシウムを含む泥が海へと洗い流され、河口で堆積したとみられる。
一方、国内二番目の大きさの霞ケ浦(茨城、千葉両県)は地点によって九五〜一〇二二ベクレルと濃度のばらつきが大きいが、水深のある地点の方が濃度が高くなる傾向があった。
◆本紙調査
本紙は二〇一四年五月から、福島第一原発事故で放出された放射性物質の汚染状況について、福島第一沖や福島県の農地、東京湾、首都圏の主要河川や湖沼で調査を続けている。今回が十二回目。
福島では、表土を除去しないまま耕した農地ではかなり高い汚染が残り、未除染の山中で採取した山菜には食品基準の二千倍を超えるものがあるなどの実情を報じた。水準は一段低いものの、首都圏でも要注意レベルの汚染が残っていることも伝えた。