与那国住民、揺れる賛否 陸自「沿岸監視隊」が発足 - 東京新聞(2016年3月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016032902000130.html
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日本の最西端にある沖縄県与那国島陸上自衛隊の「与那国沿岸監視隊」が新規編成され二十八日、隊旗授与式が行われた。中国を意識した「南西防衛」「島しょ防衛」の第一弾にあたり、今後、南西諸島の奄美大島(鹿児島県)、宮古島石垣島(ともに沖縄県)に対艦ミサイル部隊、対空ミサイル部隊が次々に新編される。 (編集委員・半田滋)
いずれの島でも配備を不安視する住民の活動があり、沖縄では米軍基地問題に加え、離島の自衛隊配備問題が浮上した。この日は「住民の四割は賛成していない」とのプラカードを持った女性が与那国駐屯地前に立ち、配備反対を訴えた。
与那国沿岸監視隊は他国の航空機や艦船を監視するほか、中国軍内部の無線通信を傍受する。隊長の塩満大吾二佐は「自衛隊の空白地域を解消し、抑止と各種任務に対応する有意義な配備だ」と会見で述べた。
レーダーは強い電磁波を出すため通常、高い山の上に設置されるが、与那国では標高五六メートルの小高い丘に設置された。レーダーの正面には久部良(くぶら)集落があり、健康被害を心配する住民もいる。
与那国への配備は外間守吉(ほかましゅきち)与那国町長による防衛省への誘致陳情がきっかけ。配備の賛否をめぐる住民投票は昨年二月行われ、賛成六百三十二票、反対四百四十五票だったが、駐屯地の着工から十カ月が経過し、配備が既成事実化する中での投票だった。
誘致について外間町長は「私は中国の脅威とか抑止力についてはひと言も言っていない。常に経済優先」(二〇一四年三月町議会の答弁)と「島おこし」が狙いであることを明言。配備に反対する田里千代基町議は「有権者が千百人しかいない島に自衛隊員とその家族合わせて二百人増える。島の自治自衛隊の意向に左右される」と地方自治の観点から不安視する。