辺野古 工事中断 首都圏の沖縄出身者「選挙対策」「いずれ着工」- 東京新聞(2016年3月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030502000134.html
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米軍普天間(ふてんま)飛行場の移設をめぐる国と沖縄県の法廷闘争は四日、和解でいったん決着した。ただ、国の名護市辺野古(へのこ)への新基地建設方針に変わりはない。「選挙対策じゃないか」。首都圏の沖縄出身者からは、和解条項に従った工事中断を歓迎しながらも、急転直下の和解をいぶかる声も上がった。 (森川清志、中沢誠、望月衣塑子)
安全保障関連法や新基地問題に反対を訴える若者グループSEALDs RYUKYU(シールズ琉球)のメンバーで、国際基督教大四年の元山仁士郎さん(24)=東京都杉並区=は「政府が工事を一時止めると決めたことは評価できるが、基地建設が白紙撤回されたわけではない」と冷静に受け止める。
六月に沖縄県議選、七月に参院選が控える。「政府が、何が何でも辺野古に基地をつくりたいなら、地元にしっかり説明し、選挙で争点化して沖縄の意見を問うべきだろう」と主張。安保関連法の審議が続いていた昨夏、国は工事を延期し、法成立後に着工した。「今回も選挙で基地問題を問われないための争点外しを狙っているのだったら、あまりに沖縄の人たちをばかにしている」と話す。
「和解というと解決をイメージしがちだが、今回は単なる仕切り直し。政府が本気で沖縄のことを考えての決断なら、今後の県との協議で辺野古基地閉鎖の道を探るべきだ」と訴える。
日本基督教団の牧師、平良愛香(あいか)さん(47)=相模原市=も国が和解に応じたことは「選挙目当てじゃないか」と疑う。「沖縄の基地問題で、国はこれまで平気で約束を破ってきた。政府のすることには裏があるから、和解で浮かれていては駄目だ」と警戒心をあらわにする。
工事中断については「つかの間でも、ボロボロになって基地建設の阻止行動をしている人たちが、体を休めることができるのはよかった」と話す。
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック事務局長の木村辰彦さん(63)=杉並区=は「翁長雄志(おながたけし)知事が裁判を通じて頑張ってきたことと、沖縄県民がオール沖縄でずっと怒ってきたことを政府が無視できなくなった」と工事中断を評価する。
ただ、安倍晋三首相が新基地建設方針に「何ら変わりはない」と述べたことには「納得できない」と反発。「日本の安全と平和のために、本当に辺野古新基地が必要なのか。政府はいろいろな観点から翁長知事とじっくり話し合ってほしい」と注文を付けた。
琉球放送の元アナウンサー川平朝清(かびらちょうせい)さん(88)=横浜市=は「和解で政府と沖縄との間に、鎮静期間ができることは歓迎したい」と一定の評価をする一方、「辺野古海兵隊員を受け入れる必要がない状況をつくり出すことが真の積極的平和主義であり、戦争を起こさないための抑止力になるはずだ」と話した。