辺野古和解 決着、事実上先送り 政府と県の思惑一致 - 毎日新聞(2016年3月4日)

http://mainichi.jp/articles/20160305/k00/00m/010/130000c
http://megalodon.jp/2016-0305-1608-03/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160304-00000132-mai-pol

米軍普天間飛行場辺野古移設を巡る政府と沖縄県の和解は、とりあえず最終決着を先延ばししたにすぎない。和解成立は政府と県の当面の政治的な思惑が一致したためで、移設をめぐる根本的な対立が解決する見通しは立っていない。
政府が和解を受け入れたのは、夏の参院選と6月の沖縄県議選を控え、世論をにらんで、対立を回避する姿勢をみせる必要があると判断したためとみられる。一方、沖縄県は工事中止を盛り込んだ和解案を当初から支持していた。
福岡高裁那覇支部が示した勧告案は、「沖縄対日本政府という対立構図になっている」と指摘した。政府と県が泥仕合を繰り広げ、解決策が見通せない状況は双方にとってプラスにならない。
安倍晋三首相は受け入れ理由について、「延々と訴訟合戦を繰り広げ、こう着状態となる」と説明した。首相主導での譲歩を演出することで、実行力をアピールすることも狙ったとみられる。
和解で国は工事を中止し、双方は話し合いのテーブルに着く。しかし、政府も県も移設を巡る従来の主張を変えたわけではなく、今後、歩み寄るという見通しもない。結局は、国は知事の埋め立て承認取り消しについて地方自治法に基づく是正指示を出し、それを契機に再び訴訟となる。
移設問題の根本にあるのは安全保障を巡る国と地方の関係だ。今回の和解が普天間問題の解決にそのままつながるわけではない。【野口武則】