中1殺害「残虐性際立つ」19歳に懲役刑 裁判員が会見 - 朝日新聞(2016年2月10日)

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裁判員「精いっぱいやった」
判決後、補充を含めて8人の裁判員のうち、2人が記者会見に応じた。裁判員を務めた50代の男性は、「たいへん痛ましい事件だが、精いっぱいやった」と振り返った。「刑を重くしたからといって、再犯防止という観点からすると、効果があるかわからない。被告は必ず反省して、服役後には更生してもらいたい」と話した。
補充裁判員だった20代の男性は「報道やネット情報で事件の残虐さだけを見てきたが、被告の事情や少年法のことなど事件を全体的に見ることができた」と振り返った。「裁判員に求められるのは感情ではなく常識だ」と意識してきたが、被害者の両親の意見陳述では「感情が入り込んでしまった」。評議では、被告の家庭環境についても議論を尽くしたという。

■被告弁護人「フェアな判断」
被告の弁護人は判決後、「こちらの主張を十分理解して頂いた上で、フェアに判断して頂いた」と話した。弁護側は、被告の成育環境から十分な共感性が養われず、暴力によってしか問題を解決できなかったと主張してきた。懲役の上限が検察の求刑より2年短くなったことについて、「有利な点を斟酌(しんしゃく)してくれたと想像している」と語った。
控訴について「今はコメントできない」とした上で、「反省は途上で、もし服役することになっても、他者への思いやりが養われるべきだ」と話した。

■少年事件の厳罰化進めた判決
〈元家庭裁判所裁判官で少年事件に詳しい多田元・弁護士の話〉 少年に対する不定期刑の上限を引き上げた2014年の少年法改正を反映し、厳罰化を進めた判決だ。3日間という短い審理で、暴力の動機や心理的背景が十分に解明されたとは言えない。更生教育のために必要な期間を検証して量刑を決めるのではなく、犯罪の外形的な事実から、成人の事件と同様に刑罰として量刑を判断する傾向が強まっていることが読み取れる。