安倍首相 靖国参拝訴訟・大阪地裁判決 裁判所の良心どこに 憲法判断回避に原告ら怒り、落胆 - 毎日新聞(2016年1月28日)

http://mainichi.jp/articles/20160128/ddf/041/010/016000c#cxrecs_s

安倍晋三首相の靖国神社参拝を巡る28日の大阪地裁判決は違憲かどうかの判断に踏み込まず、参拝の公私の区別についても触れなかった。「裁判官は良心を持ってほしい」「戦争への道が開かれれば裁判所にも責任がある」。判決を聞いた原告や支援者からは怒りや落胆の声が上がった。
「請求をいずれも棄却する」。約90人の傍聴人が詰めかけた地裁202号法廷。佐藤哲治裁判長が判決要旨を読み上げると、「ナンセンス」「おかしい」などと抗議の声が上がった。言い渡し後、しばらくは裁判官へのやじがやまず、法廷は異様な雰囲気となった。
原告弁護団が地裁玄関前で「不当判決!」と記された紙を掲げると、支援者らから「何でだ」などと抗議の声が上がった。大阪府吹田市の無職、武田保夫さん(70)は「このような判決が続くと、見方によっては戦前の軍国主義に戻ってしまうのではと思う」と話した。
判決後、原告側は大阪市内で記者会見し、父親が第二次世界大戦で戦死した元教員、松岡勲さん(71)=大阪府茨木市=は「裁判所は憲法を守るところではないのか」とがっかりした表情で話した。小泉純一郎元首相の靖国参拝違憲と判断した福岡地裁の訴訟でも原告だった住職、木村真昭さん(65)=福岡市=は「判決は安倍首相の代弁をしていた」と憤った。原告弁護団の中島光孝弁護士は「裁判所は憲法判断から逃げた。合憲にもなりえるとの含みがあり、極めて後退した判決だ」と批判した。【三上健太郎、原田啓之、藤顕一郎、岡村崇】
官房副長官「政府主張通り」
安倍晋三首相の靖国神社参拝を巡る訴えを棄却した大阪地裁判決について、萩生田光一官房副長官は28日午前の記者会見で、「政府の主張が認められた」と述べた。【細川貴代】
靖国神社は「妥当」
靖国神社は「妥当な判決であると考えている。この機会に靖国神社に対する適正なる歴史認識がより広く醸成されることを念願する」とコメントした。