高校生が描くヒロシマ証言 被爆体験絵にする活動 演劇に - 東京新聞(2015年12月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015120502000248.html
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米軍による原爆投下から70年がたち、被爆体験者が減り次の世代にどう語り継ぐかは大きな課題だ。被爆者の証言を聞いて油絵を制作している、広島市立基町(もとまち)高校創造表現コースの生徒たちの活動を、東京の劇団「青年劇場」が11日から上演する。同劇団の福山啓子さん(59)が作・演出を担当した「あの夏の絵」。福山さんは「証言者が見たものを忠実に再現しようと取り組む高校生のひたむきさなどを表現したい。被爆者の心の交流もテーマ」と意気込んでいる。 (五十住和樹)
生徒たちは二〇〇七年から、広島市広島平和記念資料館の要請を受けて、被爆者が被爆を語り継ぐ時に使う説明資料として、証言を絵にする活動を続けている。今年も八月から、十二人の被爆者の証言を計三十五枚の絵にするため、生徒二十四人を含め同校のOBや教員も協力して制作しているという。
三年生の宇都宮未来(みき)さん(18)は昨年、同居する祖父の功(いさお)さん(85)がこれまで口にしなかった被爆体験を語り部として話し始めたことに、「その勇気、今伝えなければという意思を感じて」絵の制作に取り組んだ。祖父の証言は、原爆投下の翌日に爆心地近くの百貨店に多くの被爆者が逃げ込んできた時の様子。青年劇場の福山さんは今年二月から広島を何回も訪問し、宇都宮さんら生徒や先生らに取材し、台本に仕上げた。
舞台では、高校の美術部員の女子生徒が被爆証言を絵にする活動に応募して被爆者の体験を聞く。初めは乗り気でなかった他の部員たちが証言を聞いて心を動かされ、悲惨な体験を絵にするという困難な作業に向かっていく様子を描く。
生徒たちは被爆者に質問して資料を集め、証言で出てきた場所に行って確認して絵を描く。被爆者から「ここは違う」などと指摘され、絵は変わっていくという。「自分の体を通して被爆の体験が言葉になっていく」と福山さんは感じている。
同校で指導している美術の橋本一貫(かずぬき)先生(56)は「この作業は生半可な気持ちではできず、生徒は終生忘れないだろう。戯曲になることで、平和への意識が幅広く広がってほしい」と話している。宇都宮さんは祖父母と一緒に作品を持って上京し、観劇する予定という。
上演は二十日まで、東京都新宿区新宿二の青年劇場スタジオ結(ゆい)。前売りは一般四千五百円、高校生以下二千円など。問い合わせは同劇場チケットサービス=電03(3352)7200=へ。

青年劇場 あの夏の絵フライヤーPDF
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