731部隊の戦争犯罪問う 前橋で来月に人権と不戦のコンサート:群馬 - 東京新聞(2015年10月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201510/CK2015101902000193.html
http://megalodon.jp/2015-1019-1026-55/www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201510/CK2015101902000193.html

日中戦争時に日本軍の「731部隊」が現地で進めた細菌戦や人体実験を、作家の森村誠一さんが告発した作品「悪魔の飽食」を混声合唱組曲にした「人権と不戦のコンサート」(東京新聞前橋支局など後援)が11月8日、前橋市ベイシア文化会館で開かれる。部隊の行為はどこまでが史実だったかを確かめようと、合唱団のメンバーたちは先月下旬に現地の中国・ハルビンを訪問し、それぞれの思いを胸に舞台へ立つ。 (菅原洋)
この作品はノンフィクションとされるが、一部から物証、証言、文献などの学術的な裏付けが不十分という指摘がある。
一方で、中国人が日本軍から被害を受けたとして、日本政府を相手に損害賠償などを求めた訴訟では、東京高裁は二〇〇五年、日本軍が細菌兵器を使用して多数の住民をペストやコレラで殺傷した事実を認定し、「細菌戦を禁止したジュネーブ・ガス議定書に違反する行為」と指摘。ただ、賠償請求は棄却され、〇七年に最高裁で確定した。
コンサートは一九九五年から全国各地で地元の市民が中心に参加して開かれ、県内では初めて。二十五回目となる今回は、市民や関係団体でつくる実行委員会が主催する。県内の合唱団員と関係者の計二十二人は九月二十二〜二十五日、各地の合唱団経験者ら二百四十五人とともにハルビンを訪れ、部隊に関連する遺構や資料館を見学した。
同行した実行委組織部長の大川正治さん(72)=前橋市=は「れんが造りの建物、発掘された遺構、(人体実験に使われたという)古い鎖や手錠などが保存され、日本軍による何らかの戦争犯罪があったと確信した」と実感を込めた。
コンサートには、四月から月三回ほどの練習を重ねる市民約七十人と、各地からの合唱団経験者約二百三十人が参加する予定。森村さんの原詩による組曲を群馬交響楽団の演奏とともに披露する。組曲に先立ち、森村さんと、組曲の作曲・指揮者の池辺晋一郎さんが対談する。
開演は午後二時で、全席自由の大学生以上三千円、高校生以下千五百円。問い合わせは実行委の事務局=電027(387)6327=へ。
大川さんは「安全保障関連法が成立した今こそ、戦争犯罪の史実をもっと後世へ伝える責任を痛感した。戦後七十年の節目に、戦争犯罪をあらためて考える機会にしてほしい」と来場を呼び掛けている。