辺野古埋め立ての今後 国と沖縄 法廷闘争も - 東京新聞(2015年10月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201510/CK2015101002000132.html
http://megalodon.jp/2015-1010-1030-36/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201510/CK2015101002000132.html


沖縄県翁長雄志(おながたけし)知事は来週、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う新基地建設予定地にしている名護市辺野古(へのこ)沖の埋め立て承認を取り消す方針だ。政府は速やかに対抗手段を講じ、工事を続行する構え。国と沖縄の「全面対決」は今後、どう展開するのか。 (生島章弘)

Q 翁長氏はなぜ埋め立て承認を取り消すのか。
A 承認は仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事が行った。翁長氏は昨年十一月の知事選で、普天間の県内移設反対を掲げて、仲井真氏を破って初当選。県民の民意を背にして、計画の撤回を訴えてきた。だが、政府は沖縄の基地問題について、辺野古への移設が「唯一の解決策」と主張し、溝は埋まっていない。翁長氏は、近く本格化する工事を止めるには、承認取り消ししかないと判断した。十三日にも正式決定する。
Q 埋め立て工事は中止になるのか。
A そうとは言い切れない。翁長氏が承認を取り消した場合、事業主体の防衛省沖縄防衛局は不服だとして、海上の埋め立ての根拠法(公有水面埋立法)を所管する国土交通相に審査を求める見通し。その際、取り消しの効力を一時的に停止することも申し立て、主張が認められれば工事を続けられる。中央省庁と国の出先機関は「身内」の関係だけに、政府に有利な結果が出るとの見方は強い。
Q 他の方法が採られる可能性はあるのか。
A 地方自治法に基づき、国交相が翁長氏に承認取り消しを是正するよう指示できる。この場合、沖縄側の対応が決まるまで、国は工事を中断しないといけない。県の決断が遅れれば、工事中断は長引く。移設作業を急ぐ安倍政権が、その手段を取るのは考えづらい。
Q 政府の対抗手段に対して、沖縄県は何ができるのか。
A 政府の判断に納得できなければ、司法の場に訴えることができる。国と沖縄が法廷闘争を繰り広げる展開もあり得る。