難民支援の実績を台無しにした安倍首相の「あの」一言 - 日経ビジネスオンライン(2015年10月2日)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/245872/100100007/?n_cid=nbpnbo_twbn

「日本が一部の難民を他の国と同じように受け入れる可能性について、お考えをお聞かせください」
これが質問です。
上の事情を踏まえて、一言で言えば、「人道的な観点」から日本がどんな積極性を見せるのかが、「最も国際社会が知りたい」日本のメッセージというわけです。
そしてこれに対して安倍首相は言いました。
「今回の難民に対する対応(中略)は、まさに国際社会で連携して取り組まなければいけない課題であろうと思います。人口問題として申し上げれば、我々はいわば移民を受け入れる前にやるべきことがあって、それは、女性の活躍であり、あるいは高齢者の活躍であり、そして出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります」

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質問した記者のロイター通信が伝えた記事はこうです。
「安倍首相はこう答えた。難民問題は人口問題(an issue of demography)である。難民を受け入れる前に、女性や高齢者による活躍が必要であり、出生率も上げねばならない。移民を受け入れる前にたくさんやることがある、と」
米ニューヨークの国連本部で演説した安倍晋三首相。日本として安保理常任理事国入りをめざす考えを表明し、積極的に国際貢献していくと宣言したものの、結果的に国際メディアが注目したのは、「日本は難民より国内問題が先」というメッセージでした。


「安倍首相:日本は難民支援の用意はあるが、受け入れはしない」(ワシントンポストAP通信
https://www.washingtonpost.com/world/middle_east/abe-japan-ready-to-help-refugees-but-not-take-them-in/2015/09/29/0edeb0b2-6707-11e5-bdb6-6861f4521205_story.html
「安倍首相、日本はシリア難民受け入れより国内問題の解決が先」(ロイター通信)
http://www.reuters.com/article/2015/09/29/us-un-assembly-japan-syria-idUSKCN0RT2WK20150929
「日本、シリア難民受け入れの前に、国内問題の対応が不可欠と話す」(英ガーディアン)
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/30/japan-says-it-must-look-after-its-own-before-allowing-syrian-refugees-in

難民受け入れ:日本は「鎖国」申請5000人に認定11人 - 毎日新聞(2015年9月10日)
http://mainichi.jp/select/news/20150911k0000m030092000c.html

海外メディアの取材にも応じた難民支援協会の石井宏明常任理事は「これまでのような資金援助だけでは日本は『難民に冷たい国』との印象がさらに強まるだろう。人道目的として受け入れ要件を緩和するような政治決断が求められる」と指摘した。