8月23日SEALDsKANSAI京都でのスピーチ(内田樹さん) - BLOGOS(2015年8月24日)

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僕たちは安倍政権の登場、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして、戦争法案の強行採決衆院通過というかたちで、この2年間戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーが破壊され、踏みにじられ、否定される現場に立ち合ってきました。それは平和主義と立憲デモクラシーの敗北、その失敗を示すものでした。

しかし、それと同時に、SEALDsの運動は平和主義と立憲デモクラシーが、この日本の土壌深くに根づき、こうしてみごとに開花したことを知る機会を提供してもくれました。これは戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーの堂々たる勝利と成功のしるしだと僕は思っています。

つまり、僕たちはいま、2015年の夏に、戦争法案の参院審議のさなかにあって、日本の平和主義と立憲デモクラシーの「死」と「再生」の劇に立ち合っているということです。法案が廃案になれば、それは平和主義と立憲デモクラシーの勝利です。決定的な勝利です。日本に外から「押しつけられた」と言われてきた平和憲法の理念が、ついに日本人自身によって選びとられ、その理念を自分のものとして語ることのできる「身体」を持ったということです。

それが事実なら、これは私たち日本人にとって戦後政治史上最大の勝利となるはずのものです。そのような決定的瞬間に歴史的瞬間に、いま僕たちは立ち合っています。

今日この場に参加したすべてのみなさんが、あと何年かしたあと、「2015年の夏に、日本は決定的な岐路にたっていた。そのとき、私は歴史の方向を変える運動に身を以て参加していた」と誇りを持って回想できることを願っています。