戦後70年:「国のため死んでいく制度は我慢できぬ」 俳人・金子兜太さんインタビュー - 毎日新聞(2015年6月23日)

http://mainichi.jp/feature/news/20150622mog00m040018000c.html
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彎曲し火傷し爆心地のマラソン

日本人は何を学んだのでしょうか。長崎支店時代の一句です。
戦後を共に生きた仲間たちも徐々に鬼籍に入っています。皆の名前を毎朝唱え、皆に向き合う「立禅」を続けています。振り返るに戦場での死のむなしさ、異常さを考えずにはいられません。それは「自然死」ではない「残虐死」です。
集団的自衛権の名の下で、日本が戦争に巻き込まれる危険性が高まっています。海外派兵されれば、自衛隊に戦死者が出るでしょう。政治家はもちろん、自衛隊の幹部たちはどのように考えているのでしょうか。かつての敗軍の指揮官の一人として、それを問いたい。
トラック島に残した部下たちには実は墓碑などなかった。個々人が生き延びるだけで精いっぱいの中で、できるのは小高い丘の上の穴に埋めることだけでした。国のために働かされ、死んでいくという制度や秩序は我慢できません。無理に生きる必要のない、自由な社会を作っていく。それが俺の思いです。